米市場調査機関、ディスプレイサーチの謝勤益・大中華区副総裁は29日、日系液晶テレビブランド各社が大幅な円高を受けて台湾受託メーカーへの発注を拡大し、ソニーは来年の生産委託比率を8割へと、今年の4割からほぼ倍増させるとの見通しを示した。これに伴い、同社の液晶テレビを生産する鴻海精密工業が、来年の出荷台数を少なくとも今年比2.3倍増の2,000万台に拡大するなど、台湾受託各社が大きな恩恵を受けるとみられる。30日付経済日報が報じた。
謝副総裁によると、鴻海は昨年から今年にかけてソニーよりメキシコ工場、スロバキア工場を買収し、同社の液晶テレビ生産台数の半分に当たる生産能力を持つに至った。鴻海の液晶テレビ出荷台数は、今年が前年比962%増の850万台、来年は最低2,000万台で、液晶テレビ受託生産で世界最大手となる可能性がある。現在の受託最大手は年産台数1,500万台の冠捷科技(TPVテクノロジー)だ。
ソニーの2010年度(10年4月~11年3月)の液晶テレビ出荷目標は2,500万台で、首位のサムスン電子、2位のLGエレクトロニクスを追撃すべく、11年度は出荷目標を4,000万台に拡大する。これにより、鴻海のほか、緯創資通(ウィストロン)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、TPVなども受注増に恵まれる見通しだ。
ウィストロンはソニーからの受注拡大に伴い、来年度の液晶テレビ用パネルを確保するため、最近相次いで友達光電(AUO)、LGディスプレイ(LGD)との提携に踏み切った。アナリストによると、同社の液晶テレビ生産台数は昨年250万台、今年は120%増の550万台で、来年はソニーからの受注増で1,000万台に達する可能性もある。
東芝、委託比率6割に
日系メーカーでは、東芝も今年、液晶テレビの生産委託比率を6割に高め、ウィストロンの出荷増に貢献している。
三菱電機も今年、コンパルへの生産委託が100万台を超える見通しだ。液晶パネルは主にAUO、サムスンから調達している。
JVC・ケンウッド・ホールディングスは27日、「JVC」ブランドの液晶テレビを、瑞軒科技(アムトラン・テクノロジー)に委託することを決めた。アムトランにとってはブランド経営の試金石になるとみられている。
パナソニックも台湾メーカーへの委託を検討しており、コンパルが受注する可能性が最も高いと観測されている。
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