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作成日:2010年8月31日_記事番号:T00024969
増える退役将校の訪中、米国が警戒感

中台間の交流が拡大を続ける中、ここ2年来、集団で中国を訪問する退役軍人が激増している。参加メンバーには要職経験者も多く含まれることから、米国の警戒心を呼び起こし、台湾側に説明を要求しているもようだ。
軍事面で協力関係にある米台間では、中国から招聘(しょうへい)を受けた場合、訪中スケジュールや目的などを事前に相手側に伝えることになっている。ところが、退役将校の訪中に関しては、この慣例が守られていないことが、米側の不満を引き起こしているらしい。
今年4月、退役軍人の訪中団で北京を訪れた許歴農・元総政戦部主任が、「今回の訪中目的の一つは、両岸(中台)間に軍事面での相互信頼メカニズム構築を促進すること」と発言したことも、米側に「中台は米国の頭越しに軍事交流を拡大している」と受け取られたようだ。
今年に入って以降、米CSIS(戦略国際問題研究所)関係者が非公式に台湾の国防部や外交部を度々訪問して、同問題についての説明を求め、国防部は「中台交流は現段階で経済が中心であり、近いうちに政治や軍事面での相互信頼メカニズム構築にまで拡大することはない」と釈明しているとされる。
現在、退役軍人のOB組織は「中央軍事院校校友会」、「黄埔校友会」、「四海同心会」の3団体。中国との交流に最も積極的なのは、最大規模の中央軍事院校校友会だが、政府は退役軍人の訪中団に対して、補助金を出さず、いかなる権限も与えないという態度を一貫している。
ただ、訪中する退役軍人の数はあまりにも多く、既に中国側にとっても珍しくも何ともなくなっているようで、至れり尽くせりの特別待遇で手厚く迎えられるのは、諜報部門出身の退役将校だけに限られるらしい。一般の陸海空軍出身者は往復の航空運賃は自腹、現地での宿泊と交通費が提供される程度だという。