ノートパソコン受託生産最大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は1日の業績説明会で、ブランド各社による新製品投入が相次ぐタブレット型PC市場の来年見通しについて、成長は見込めるものの、iPadが人気のアップル以外の他ブランドが、大幅なシェアを取ることはないとの見方を示した。うまみが少ないとの判断から、撤退するブランドメーカーも現れるとみている。2日付電子時報などが報じた。
陳総経理は、来年のiPad以外のタブレットPCの予想販売台数は1,000万~1,200万台で、最も楽観的な数字でも1,500万台を超えることはあり得ないと指摘。コンパルの来年の受注台数も200万台程度で、業績への貢献度は限定的とした。
一方、iPadは強いブランド力と豊富なアプリケーションソフトを武器に、来年は少なくとも3,000万~3,500万台と、今年の1,000万台から3倍以上の成長となり、7~8割のシェア獲得が見込めると語った。業界関係者によると、コンパルもiPadの受託生産に意欲を見せているという。
陳総経理は来年のiPad以外のタブレットPCは「ARM」と「ウインテル」の2大陣営が中心で、全体的な性能、バッテリーの持続時間、ソフトサービスなどからARM陣営が比較的優勢になるとみている。
「ウインテル」はタブレットPC市場であまりシェアを取れないとの予測だ。同陣営が強みを発揮した低価格ノートPC(ネットブック)がタブレットPCに押されているため、陳総経理はプラットフォームの価格引き下げを図るか、プロセッサーおよびシステムの性能向上を図るべきと提言した。
このほか、グーグルのタブレットPC用プラットフォーム「アンドロイド」は、来年に「ジンジャーブレッド」や「ハニカム」といった次期バージョンがリリースされることで、安定かつ成熟したものになるとの見方も示した。
ノート受託「いい話なし」、鴻海を批判
本業であるノートPC受託生産については「いい話はない」と語り、第3四半期の出荷台数は第2四半期の1,320万台から数%減少するとの見通しを示した。そして、第4四半期は成長を回復できるものの、通年の出荷目標5,000万台の達成は「努力するがやや困難かもしれない」と語った。
ライバルの広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は第2四半期の粗利益率が3.4%に落ち込んだが、コンパルも第3四半期は3%台に落ち込むと予想している。陳総経理はノート受託市場でシェアを伸ばす鴻海科技集団(フォックスコン)に対し、「これ以上の低価格受注を行うべきではない。粗利益率がこうも低くなった状況をよく考えるべきだ」と批判した。
液晶テレビ、来年800万台に下方修正
液晶テレビの受託生産では、来年の出荷目標を従来の1,000万台から800万台へと引き下げたことを明らかにした。液晶テレビは消費市場の展望を最も早く反映するといわれているが、陳総経理は「全体的に来年の世界経済には懸念がある」と話した。なお、今年の液晶テレビの出荷目標台数は550万~570万台だ。
コンパルの今年上半期の業績は、売上高が前年同期比88%増の4,337億台湾元(約1兆1,500億円)、営業利益率2.6%、純利益は前年同期比149%増の149億5,200万元となった。
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