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作成日:2010年9月3日_記事番号:T00025057
賞金100万元の脱少子化コピー、1位入選女性も「産みたくない」

「子ども~私たちの最高の家宝」――これを聞いて、子どもが欲しくなる人はいるだろうか?
深刻な少子化を阻止しようと内政部が行っていた「聞けば子どもが欲しくなるキャッチコピー」募集イベントで、インターネット投票の結果9,845票を獲得し、1位に選ばれたのがこの作品。賞金はなんと100万台湾元だ。
第2位は「幸福は簡単、ベイビー1、2、3!」(7,849票、賞金10万元)、第3位は「『孩』好(よかった)、あなたがいてくれて」(孩は子どもを意味する、3,864票、同5万元)、第4位は「子どもを産んで、幸福倍増!」(1,745票、同3万元)、第5位は「素晴らしい人生に子どもは欠かせない」(1,156票、同2万元)と、こう言っては何だが、いずれも「ぱっとしない」キャッチコピーばかり。
第1位に輝いたキャッチコピーの作者は、台中市在住のレストラン従業員女性、張芝菁さん(32)。応募の動機は、「これまでは政府に税金を払うばかりだったので、今度は政府からお金を取ってやろうと思った」と語る。
キャッチコピーは、友人たちとあれこれ知恵を絞って考え出した。家族や親せきなども総動員して投票を呼び掛けた結果、最多得票となり見事賞金100万元(税引き後の手取りは90万元)を手にした。
まだ独身で恋人もいない張さんだが、たとえ結婚しても子どもを産む気はないそうだ。経済的に育てられるか不安、というのがその理由で、皮肉なことに「自分が作ったキャッチコピーを聞いても、子どもは欲しくならない」と本音を漏らしている。
これには内政部も面目丸潰れだが、簡太郎・内政部次長は、今回のキャッチコピー募集によって「出生率下降に対する社会の関心を呼び起こす効果があったので、100万元以上の価値があった」と自画自賛だ。張さんのキャッチコピーは、今年度の人口政策の広報活動に使用されることになるが、出生率アップにつながるかどうか…。台湾は2022年に人口増加がストップすると予測されているだけに、問題は深刻だ。