財政部は5日、2009年以降に営利事業所得税(法人税)の引き下げを実施する方針を正式に表明した。同年の産業高度化促進条例の期間満了に伴って各種産業向けの租税減免措置が終了することにより、実質的に約1,200億台湾元(約4,200億円)の税収増となるに等しいとして、この分で営利事業所得税の引き下げで生じる税収減をまかなう方針だ。個人総合所得税については、現行の税率を維持する考え。
財政部の表明は、何美ゲツ行政院経済建設委員会主任委員(ゲツは王へんに月)が、前日に法人税に相当する営利事業所得税の税率を現行の25%から香港の16.5%以下に引き下げる方針を示したことを受けてのもの。
6日付蘋果日報などによると、何主任委員の発表は、何志欽財政部長も事前に連絡を受けていなかったが、営利事業所得税の引き下げは既定方針であるため、財政部も改めて説明を行った。
張盛和財政部次長によると、従来型産業の多くは産業高度化促進条例による租税の減免措置を受けておらず、留保金課税(配当率40%の場合)を合わせれば、実質課税率は29.5%になる。一方で同条例で優遇扱いになっているハイテク産業では営利事業所得税はゼロ%が多く、最低税負担10%と留保金課税を合わせても実質課税率は15.4%にしかならない。このため、営利事業所得税の引き下げは、従来型産業が最も大きな恩恵を受けることになる。
また、現在の「5年間租税減免」や「企業および株主の投資税額控除」「機械設備および研究開発(R&D)経費に対する租税優遇」など、過去50年にわたって産業育成のために行われてきた各種優遇税は一律廃止になる。
減税目的を否定
こうした企業租税の改革について張次長は、「企業減税を進めるものではない」と指摘。「これまでさまざまな租税優遇を行った結果、産業間の租税バランスが失われた上、外資は25%の営利事業所得税に抵抗感を感じるようになった。租税優遇の廃止と営利事業所得税の引き下げは税負担の公平化と、簡素化による徴税コストの削減を狙ったものだ」と趣旨を説明した。
なお、6日付経済日報は、政府のここ数年の税制改革は企業や財閥に偏っているとして、一般納税者の利益になる改革を推進するよう注文をつけた。富裕層の株や土地の取引による利益や海外所得など課税対象を整理することで、「富裕層に手厚く、貧困層を軽視する」税制改革を繰り返してはならないと指摘した。