酷暑続きの今年の夏、ビール販売が好調だ。量販店の愛買(aマート)は7~8月のビール販売が前年同期比で約30%増えた。コンビニエンスストアのセブン-イレブンも同期15%以上の成長をみせた。特に輸入ビールは、愛買で台湾ブランドの2倍、セブン-イレブンで30%以上伸びる好調ぶりで、「台湾ビール」のシェアを侵食している。5日付中国時報が報じた。
愛買は中元節(旧暦7月15日、今年は8月22日)前の8月21、22日の2日間でビール35万缶を売り上げた。セブン-イレブンは6月の月~木曜でさえビールの販売量が前年同期比15%増となり、需要期の7~8月はさらに伸びた。特によく売れたのは59~88台湾元(約160~230円)の中高価格帯の輸入ビールだ。オバマ米大統領のお気に入り、ボストンの地ビール「サミュエル・アダムズ」や、ハワイ「コナビール」のパッションフルーツビールは3週間で売り切れた。しかも500ミリリットル(ml)タイプが300mlよりよく売れたという。一方でセブン-イレブンは来週、1瓶30元以下の低価格ビールを発売する予定だ。
小売業者によると、台湾ビール市場は年550億元規模のアルコール飲料市場の4割を占める。かつて圧倒的なシェアトップだった台湾ビールは、今年1~7月はシェアが72%まで低下し、輸入ビールに押され気味だ。
台湾市場2位で、1~7月でシェア13%を占めたオランダ「ハイネケン」は、広告によるマーケティングに強く、今年上半期の販売量は前年同期の2.06倍に増えた。台湾サントリー(台湾三得利)は「ザ・プレミアムモルツ」を66元(500ml)と、台湾ビールの約1.8倍の高価格で投入している。
ビール文化に変化
これに対し、台湾ビールを生産・販売する台湾煙酒(TTL)は、以前のように「乾杯」の声を掛け合い一気飲みするのではなく、味や雰囲気を楽しむ若者が増えたと指摘。昔ながらの味の1瓶30元以下のビールは35歳以上の男性、特にブルーカラー層や父親層が6瓶まとめて購入することが多い一方、都市部の25~45歳の消費者、特に女性の購入で中高価格帯市場の成長が著しいのが最近の傾向だ。TTLはこのため、既に苦味の少ない「金牌ビール」や「MINE」を投入して応戦しているほか、シェアを取り戻すため、高価格帯市場への参入も検討している。
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