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作成日:2010年9月9日_記事番号:T00025173
根強い「跡継ぎは男」思考、出生比率の不均衡続く

男女の出生比率は、女児100人に対し男児105人が自然な状態とされる。しかし「跡継ぎは男」の考えが根強い台湾では、男児出生比率が異常に高い不均衡な状態が続いている。
行政院衛生署によると、今年上半期に生まれた新生児8万2,712人のうち、男児は4万3,348人、女児は3万9,364人で、出生性比(女児100人に対する男児の数)は110.12で、直近6年で最大となった。4,000人近く男児が多い不自然な状態だ。
特に男女出生比率の不均衡が顕著なのは、40歳以上の高齢出産の場合で、出生性比は130~140と非常に高い。40歳以上で女児を出産する妊婦は、平均3人に1人だ。また3人目の出産の場合も、出生性比は120以上と平均値より高い。いずれも「後継ぎ」を望むため、女の子なら出産をやめるというように故意に胎児を選択していると思われる。
このような「男尊女卑」には地域格差も見られる。09年に出生性比が最も高かったのは、離島の連江県(156)。連江県は03年も全土トップ(207)だったが、新生児が少ないため、たまたま出生性比が高くなった可能性もある。ワースト2だった嘉義市(115)は、前年08年も出生性比は高く(122.32)全土25県市のうち最悪。ワースト3以下は嘉義県(113)、宜蘭県、新竹県と続く。
ちなみに、昨年09年の新生児数は19万1,310人で、出生性比は108.50。自然比率から考えると、約4,000人の女児が人工中絶などによって誕生を許されなかったとも考えられる。医療機関の中には出生性比が178.13という異常なケースもあったとか。衛生署は出生性比が特に高い医療機関34カ所に対し、改善を求めると同時に、指導を強化しているという。
なお、男女の産み分けについて周産期医学会は、現在の医療技術で精子からY染色体を分離できる確率は7割で、確実に男の子を妊娠できるとは限らないと説明している。また、胎児の性別を判断する血液検査などもあるが、妊娠周期が早い場合には正確な結果が得られるとは限らないようだ。