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最低賃金3.47%引き上げ、月額1万7,880元に


ニュース その他分野 作成日:2010年9月14日_記事番号:T00025289

最低賃金3.47%引き上げ、月額1万7,880元に

 
 労働者の最低賃金を現行より3.47%引き上げ、月額1万7,880台湾元(約4万7,000円)とする案が13日、行政院労工委員会(労委会)の審議会で決定された。閣議決定を経て、来年1月にも実施される。雇用主の負担は台湾全体で年間100億元以上増える見通しで、特にスーパーマーケットなどの売り場や理美容店、建設業などの業界が大きな影響を受けそうだ。14日付経済日報などが報じた。
  

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労働団体の代表者らは13日労委会前で、労働者と家族の最低限の生活を守るには最低賃金2万2,115元(月額)が必要と主張し、28%の大幅引き上げを訴えた(13日=中央社)
 
 審議会はまた、最低時給を現行の95元から98元に3.15%引き上げる案も決定した。最低賃金は過去3年間据え置かれていたが、王如玄・労委会主任委員は今回3.47%の引き上げ幅での改定案について、▽2006年から09年まで物価指数が4.47%上昇した一方、昨年の経済成長率がマイナス1.91%に落ち込んだこと▽直近7月の失業率が5.20%と高いこと──の2点から、大幅引き上げを行った場合、中小企業の負担を高め、雇用者減少や倒産を招く恐れがあると判断し、この間の物価指数から1ポイント差し引いた数値にしたと説明した。

 労委会労工保険局の統計によると、労工保険(労働保険)保険料の算出基礎となる賃金が最低賃金に相当する労工保険加入者は118万人に上る。ブルーカラーの外国人労働者6万人のほか、心身障害者や既婚女性、新社会人などが大部分を占める。このため労委会は、最低賃金引き上げは社会的弱者への支援に貢献すると指摘した。

 

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労使ともに不満

 産業界は景気回復が依然明確でないとして最低賃金の引き上げに難色を示していたが、審議会に出席した中華民国全国工業総会(工総)の蔡穂監事は、3.47%の決定に対し、「大き過ぎる。2%に引き下げるべきだ」と発言した。

 一方、労働界の代表として全国産業総工会(全産総)の林進勇・常務理事は、「市民生活の要求に合っていない」として、監察院などに告発を行う考えを示した。謝創智・全産総秘書長も、呉敦義行政院長による差し戻しを希望すると語った。

コンビニ業界、10億元のコスト増

 人材会社の試算によると、最低賃金引き上げによって企業の賃金支払い額は年間84億9,000万元増え、これに労工保険や全民健康保険(健康保険)保険料の事業主負担を加えると、雇用主のコストは100億元以上増える計算だ。

 コンビニエンスストア業界では、セブン-イレブンと全家便利商店(台湾ファミリーマート)だけでも学生アルバイトが3万人に達し、年間8億元の人件費増が予想される。萊爾富(ハイライフ)やOK超商(OKマート)を加えると10億元を上回る見通しだ。コーヒーチェーン店の「85度C」は、各店の人件費は月額1万元増えると懸念を示した。

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