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作成日:2007年9月10日_記事番号:T00002534
李安監督、ベネチア国際映画祭で2度目のグランプリ
台湾出身の李安(アン・リー)監督の「色、戒(邦題:ラスト、コーション)」が8日、第64回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で金獅子賞(グランプリ)を受賞した。李監督は2005年に「ブロークバック・マウンテン」でも金獅子賞に輝いており、これで2作連続受賞という快挙になる。
「色、戒」は40年代日本占領下の上海と香港を舞台にしたスパイサスペンス。張愛玲の小説をもとに、中国、香港、台湾出身の俳優を起用し、米国と台湾の資金で撮影された。主演のトニー・レオン(梁朝偉)と新人女優のタン・ウェイ(湯唯)の生々しいベッド・シーンが話題になっている。
同作品は当初、主催者側が同作品の出品国を「中国、台湾」と表記したことから、政治問題化するのではないかと注目された。台湾 出身の李監督は、一時コンペティションへの参加を取り止めようかと考えたという。しかし、「芸術は芸術、政治とは無関係、人々に自分の作品を見てもらうことが肝心だ」と割り切り、受賞式では「この作品は中国、香港、台湾の合作であり、中台の区別は意味がない」と強調した。
李監督は54年台湾生まれ。79年に米国へ移民し、ニューヨーク大学映画製作科修士課程を修了。映画製作の道は平坦ではなく、かつて6年間の失業中は夫人が家計を支えたという。これまで「推手(プッシング・ハンズ)」「喜宴(ウェディング・バンケット)」「飲食男女(恋人たちの食卓)」「理性與感性(いつか晴れた日に)」「冰風暴(アイス・ストーム)」「臥虎蔵龍(グリーン・デスティニー)」などの作品で数々の賞を受賞している。
なお、李監督と映画製作会社には行政院新聞局からそれぞれ1,000万台湾元(約3,500万円)の賞金が贈られることになっている。李監督は24日に台湾へ戻り、家族と共に中秋節を過ごす予定。台湾でもまた新たに李安旋風が巻き起こりそうだ。