太陽電池大手の昱晶能源科技(ジンテック・エナジー)は15日、市況が11月下旬以降下向くとの見方から、12月オファー価格の5~10%引き下げを宣言した。業界各社の大幅な増産で来年供給過剰に陥るのは確実で、来年第1四半期に対応したのでは遅すぎるとの判断だ。一方、来年の世界市場規模は市場調査機関が予測する5%成長を大きく上回る、20%以上の力強い伸びが期待できると楽観視している。16日付工商時報などが報じた。
生産拡張競争に警鐘
潘文輝ジンテック総経理は15日開催の業績説明会で、太陽電池業界は感謝祭前よりオフシーズンの影響が出始め、来年第1四半期は試練の時期になると予測した。
ただ同社の受注は好調で、来年第1四半期まで見通しが立っているという。来年は設備投資に53億5,000台湾元(約140億円)を投じ、同年第1四半期と第3四半期にそれぞれ240メガワット(MW)増強する計画だ。長期的には、現在の年産能力930MWから、2012年には2.33ギガワット(GW)まで引き上げる予定だ。
潘総経理は、同社は受注状況に応じて計画的に生産能力を拡張しているが、各社が競ってやみくもに生産能力を増強している現状に不快感を示し、このままでは供給過剰は免れられないと指摘した。ただ、競争力がない一部メーカーは生産能力を増やしても受注を得られず、同社には影響が出ないと自信を示した。
潘総経理はまた、「太陽電池は安ければ安いほどいい」との考えを示し、同社は技術向上でコストを引き下げて利益を生み出していると語った。太陽電池価格は昨年の1ワット(W)当たり3.1米ドルから、現在は1.3米ドルまで下がっているが、同社は今年、昨年よりも利益が出ているという。
世界7位に躍進へ
同社の今年上半期の出荷量は372MWで、昨年通年の出荷量を上回った。今年通年では800MWを超え、世界7位(シェア6%)へと、昨年の10位(同3%)から躍進する見通しだ。来年の出荷量は今年比50%以上増の1.2GWを目指す。
潘文炎董事長は、太陽電池市場の規模はこの10年間、毎年拡大し続けており、金融危機発生で打撃を受けた09年さえも20%の高い成長率を誇ったと指摘。来年は5%成長とする市場調査機関の予測には「悲観的すぎる」と切り捨てた。
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