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謎の「松阪豚」、日本産とは関係なし


ニュース 社会 作成日:2010年9月20日_記事番号:T00025382

謎の「松阪豚」、日本産とは関係なし

 
 「松阪豚」って何?台湾のレストランでよく目にするおなじみのメニューだが、日本人が見ると「高級和牛の『松阪牛』なら知っているけど...」と、頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ方がほとんどだろう。

 それもそのはず、実は「松阪豚」とは品種名ではなく、豚の首から肩にかけて脂肪分が霜降り状についている部位を指す台湾で生まれた新語。台湾では他にも「霜降豚」や「雪花豚」とも呼ばれるが、「松阪豚」には松阪牛から連想される高級なイメージがあるため広く使われている。決して「日本産の高級豚肉」という意味ではない。

 財団法人中華民国消費者文教基金会(消基会)が9月上旬、ネット上でメニューに「松阪豚」と掲載している業者を調査したところ、11業者のうち9業者が「台湾産」と明記。あとの1業者は「輸入肉」と表示、もう1業者は未表示で「日本産」を匂わせている節がないともいえない。

 ちなみに日本から台湾への豚肉輸入は口蹄(こうてい)疫のため今年4月から禁止されており、現在台湾で日本産の豚肉を口にすることはできない。

 このほか、台湾のレストランでは「神戸牛」や「和牛」といったうたい文句も見かけることがあるが、牛肉も狂牛病(BSE)の影響で2001年から輸入が禁止されており、調査を受けた4業者の牛肉はいずれも米国産またはオーストラリア産だった。

 「和牛」は「日本在来牛に外国種を交配・改良した品種」という意味で日本産とは限らずうそをついているとは言えないが、「神戸牛(神戸ビーフ)」は兵庫県で生産された「但馬牛」のうち一定の基準を満たしたもののみに使用が許されるブランドであるため完全に偽物。

 消基会はこうした呼称は消費者が誤解しやすいとして、「台湾松坂豚」「オーストラリア和牛」など分かりやすい表示にすべきだとの立場だ。

 法的に見ると、食品衛生管理法上、「松阪豚」の表示は問題ないが、産地証明を拒否した場合は3万~15万台湾元の罰金となる。「神戸牛」や「松阪牛」など偽りの表示を行った場合は、4万~20万元の罰金が科される。