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作成日:2010年9月21日_記事番号:T00025412
中秋節のバーベキュー、景気回復で3年ぶり盛況

あす9月22日は中秋節(旧暦8月15日)。台湾では今やバーベキューが定番となり、月餅(げっぺい、菓子)と文旦(ブンタン)は影が薄い。実は、中秋節のバーベキューが定着したのは十数年前のことで、しょうゆメーカーがコマーシャルで焼き肉のたれの宣伝に利用したことが発端だった。今や家族団らんの中秋節にぴったりのイベントとしてしっかり根付いている。
しかし、台湾全土でバーベキューが行われるため、この日は大気汚染が深刻化する「環境災難日」でもある。木炭を燃やすことで地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)が大量に発生するからだ。
そこで2008年には馬英九総統が、CO2排出量削減を提唱。政府による指導で、例年各地で催されていた盛大なバーベキュー大会は次々と取り止めとなった。09年は8月に台風8号(アジア名・モーラコット)による大規模水害で多くの人が被災したことから、各地でバーベキューを自粛する動きが目立った。
ところが今年は打って変わって、バーベキューが盛況だ。バーベキューセット販売の「串串香烤肉食品」彰化店によると、ここ2年の売れ筋は1人前120台湾元のセットだったが、今年は200元、250元の順に多く売れ、120元のセットは最も売れ行きが悪いとか。また、社内のバーベキュー用に、1人前399元セットを購入する企業も多いというから、景気の回復のほどがうかがえる。
桃園県中レキ市(レキはつちへんに歴)金華里では、政府のCO2排出量削減政策もどこ吹く風、20日夜に町内で3,000人規模の大型バーベキュー大会が開催された。「政策のためにバーベキューを取りやめるのはやりすぎだ」とは謝岩介里長の弁。
高雄地区では19日に台湾を横断した台風11号(アジア名・ファナピ)も何のその、量販店では例年より2割ほど売り上げが伸びているそうだ。
とはいえ、嘉義県のように政府の政策に忠実な自治体もある。同県ではバーベキューを阻止するため、6町村を対象に「CO2排出量削減コンテスト」を実施。参加6町村すべてがバーベキューを取りやめた。同県義竹郷ヒ前村(ヒはつちへんに卑)では半年も前から計画していたというのに、中止に当たって村民から不満は一切出なかったという。やはり、優勝賞金20万元が魅力的だったのだろうか?