台風11号(アジア名・ファナピ)によって北半分が水害に見舞われた高雄市で、行政の責任をめぐる発言で、陳菊市長(民進党)が謝罪に追い込まれた一幕があった。昨年の台風8号(モーラコット)で、馬英九政権が拙劣な対応で大きく評価を落とした経緯があり、市長選を2カ月後に控えた微妙な時期とあって過敏な反応をしてしまったようだ。23日付蘋果日報などが報じた。
陳菊市長と(左)会見した呉敦義行政院長(右)は、「今は救災活動が第一で、誰に多く責任があるかを問う時ではない」と語った(22日=中央社)
陳市長は21日、国民党市議による市の対応への批判に対し「治水問題の責任の8割は中央政府にある」と発言し、これが責任転嫁との批判を受けた。同紙が行った「市長選が明日行われれば誰に投票するか」とのアンケートの結果は、▽陳菊氏、36.39%▽楊秋興氏(無所属)、24.60%▽黄昭順氏(国民党)、18.05%──となり、陳市長の支持率は、楊氏が民進党を離党して立候補すると表明した時点から約7ポイント低下した。
陳市長は22日、発言への批判を受けて、「治水は地方と中央のいずれにも責任がある」と修正し、被災した市民に謝罪した。一方、国民党陣営は、同党寄りのメディアで陳市長への批判が目立つものの、過度の追及はかえって市民の反発を招くとの警戒感から、批判を手控えている。
蘋果日報の世論調査では、「水害に対し誰が最も責任を負うべき」という質問に「高雄市政府」が42.36%で最も多くなった。これに対し民進党寄りの自由時報は「200年に1回レベルの豪雨だったため、どこの自治体であろうと洪水になった」と高雄市を弁護する論調で、23日は2001年の台風16号(ナーリー)で大規模な洪水に見舞われた台北市の写真を掲載した。