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作成日:2010年9月27日_記事番号:T00025501
非合法の水上民宿急増、日月潭に危機
台湾最大の淡水湖、日月潭(南投県)の生態系が破壊の危機に瀕している。観光客向けの非合法な水上宿泊施設が急増し、ゴミや汚水による汚染が広がっているためだ。
日月潭は台湾最少の先住民族、邵(サオ)族が暮らす自然豊かな地。彼らは、湖面に並べたいかだの上に簡易小屋を作り、四角吊網と呼ばれる伝統的な網を使って漁をするが、そのいかだの上に、民宿やレストランなどの施設を作り、観光客向けに営業する業者が急増しているのだ。
もちろん、これらはすべて違法行為。本来、いかだではライセンスを持つ業者の漁業行為しか許可されていないからだ。南投県がこれまでに発行したライセンス(四角吊網漁いかだ証)は計93枚だが、日月潭には現在172枚ものいかだが浮かんでいる。今年に入ってからだけでも、新たに30枚増加した。
漁業用のいかだが観光用の民宿などに改造されるようになったのは、ここ数年来漁業資源が枯渇していることもあるが、何といっても観光客の増加が主因だ。今年の観光客数は600万人を突破する勢いで、昨年同様、過去最高を更新する見通しだ。
業者は民宿以外にも、水上でパーティーやディスコ、バーベキュー、釣りなどのイベントを開催し、商売は大繁盛。ヤミでは1枚250万台湾元でライセンスの取引が行われているほか、550万元でライセンスの取得から民宿の建築や内装まで全ておぜん立てしてくれるサービスまであるというから、ビジネスチャンスの大きさがうかがえる。
政府がこれまで全く取り締まらず、野放しの状態だったことも事態に拍車を掛けたようだ。ただ、南投県政府、交通部観光局日月潭風景管理処、台湾電力など各関係部門はやっと重い腰を上げ、10月早々にも対策を話し合う予定だ。この状態を放置すればあと5年で日月潭はおしまいだと危ぶむ専門家の声もあるだけに、早急な対応が必要だろう。