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空港MRT建設遅延、開通11年末に


ニュース 運輸 作成日:2007年9月10日_記事番号:T00002560

空港MRT建設遅延、開通11年末に

 
 台北駅と桃園国際空港を結ぶ都市交通システム(MRT)の全線開通が、当初計画より半年以上遅れて2011年末になる見通しであることが、交通部高速鉄路工程局が今月行った部内報告で明らかになった。10日付自由時報によると、遅れの原因は政府予算の成立遅延で土地収用や工事発注に影響が出ているためで、空港付近の地下化や、台北の工事区間での遺跡の有無、淡水河底の地質など、さらなる遅れを招く可能性のある課題も山積している。
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 空港MRTは、空港から桃園県蘆竹郷、台北県林口郷、桃園県亀山郷、台北県泰山郷、新荘市、三重市を経て台北駅までを結ぶ全長約51キロで、当初予定では2009年10月に空港~三重、11年4月に三重~台北の開通を目指している。総工費は1,074億7,000万台湾元(約3,760億円)に上る。

 政府によるBOT(建設、運営、譲渡)案撤回、自主建設の決定後、一昨年に核心機電施設の入札を行ったものの、中央政府予算が2年連続で成立が遅れたことにより予定通りの工事発注ができず、用地の取得作業さえも完了していない。今年度の総予算は7月にようやく成立を見たため、現在用地取得と工事の発注を急いでおり、用地取得は年末までに一連の作業が終了する見通しだ。

高架化「強行」も検討
 
 開通遅延の新たな要因になるとみられるのは、立法院で昨年末に行われた、桃園国際空港付近の大園区間の路線地下化を求める決議だ。高鉄局では、実際に地下化を進めることになれば、建設費は20億元上昇、工期は少なくとも1年遅れると見ている。同計画は経済建設委員会による最終決定を見ていないものの、決定が遅れれば遅れるほど、工事を執行できず先延ばしになっていく懸念が強い。

 このため高鉄局では、工事を急ぐためにまず高架路線で発注を行い、地下化が決定したら、中途変更を行う可能性も検討している。

台北市は懸念を一蹴

 自由時報はまた、「地下路線として建設する台北区間では、工事で必ず古蹟を掘り当てる」という鉄道専門家の意見と、「淡水河底の地質に問題がある場合、少なくともさらに半年遅れ、古蹟が出ればさらに遅れる」という高鉄局関係者の見方を紹介している。

 工事を行う北門一帯には、清朝時代に台北機械局、台北旧駅が設けられ、日本統治時代も鉄道関連の重要地域で、これまでのMRTの工事でも多くの遺跡が発見されたという。

 こうした指摘に対し台北市捷運工程局では、「旧地図と照らし合わせて路線建設の地点を変更したため問題ない」という立場だ。淡水河の川底の地質が工事に影響を与えるかどうかについては、「捷運局は施工経験が豊富で地質の影響は受けない」と否定している。