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台プラでまた火災、エチレン供給不足長期化も


ニュース 石油・化学 作成日:2010年10月4日_記事番号:T00025675

台プラでまた火災、エチレン供給不足長期化も

 
 台塑集団(台湾プラスチックグループ)傘下、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)が嘉義県太保市に構える合成紙「PEPA(珠光紙)」工場で3日大規模な火災が発生した。これを受けて嘉義県政府は、同工場に対し無期限の稼動停止を命じた。7月の火災被害によって停止していた台プラ第6ナフサ分解プラント(六軽、雲林県麦寮郷)内の、台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)第1オレフィンプラント(OL1)は、あす5日にも復旧が見込まれていたが、グループ内で3カ月間に3度も大規模な火災を発生させたことで審査が長引き、エチレンの供給不足がさらに深刻化するとの懸念が出ている。4日付経済日報などが報じた。
 
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大量の黒煙を上げて燃える南亜プラ嘉義工場。管理方法で他の企業から模範とされることも多い台プラグループの連続火災に、「台プラはどうしてしまったのか」との声が上がっている(3日=中央社)

 南亜プラの呉嘉昭総経理によると、火災の原因は、電気コントロール室の温度が過度に上昇したためとみられ、PEPA生産ライン3本のうち2本、およびオートメーション倉庫が燃えたという。生産ラインと倉庫の被害額は1億〜1億5,000万台湾元(約2億7,000万〜4億円)。このほか工場内には1台10億元余りの機器もあるが、まだ熱が残っているため中に入れず、被害状況は確認できていない。 消火活動に当たった消防隊員によると復旧には1年を要するとみられ、その場合、同社の売り上げ損失は18億元に上る可能性がある。

 なお同社は、同工場の倉庫に保管されていた加工物は、燃焼しても人体に害のある物質は発生しないと説明しているが、火災発生後、周囲10キロメートル以上の範囲に異臭が漂い、午後に大雨が降った際には黒く染まった雨も観測され、住民から抗議の声が上がった。これに対し南亜プラは、周辺住民に対し1週間以内に説明を行うと表明した。
 
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川下で大幅な減産・停止も

 7月7日に火災が発生した台塑石化OL1は先週1日、稼働再開のための審査を労働検査所(労検所)に申請した。かつて類似の事件を起こした石油・化学メーカー主管によると、当局の検査から復旧の許可が出るまでには約半月かかるというが、台プラグループの幹部は「OL1の修理には労検所の職員が立ち会っているため、審査は早く済み今週中にも再開許可が得られる」と見込んでいる。

 しかし、今回グループ内で再度火災が発生したことは、OL1の復旧審査にも影響を与えるとみられ、審査が長引くほど、5日から年次補修に入る台塑石化OL2と同時に停止する期間も伸び、台塑石化にエチレン供給を頼る石化中間原料メーカーが大幅な減産、または生産停止を迫られることになる。

 台プラグループ幹部によると台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)、南亜プラ、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)は、OL1が停止した後、原料の供給不足からスポット市場での調達を行っているが、毎月のエチレン需要6万トンに対し、現在スポット市場では2万トンしか調達できず減産せざるを得ない状況だという。今後OL1の復旧時期がさらに遅れることになれば、同グループへの影響はさらに大きくなると懸念される。

 ただ、これについて雲林県建設処の施克和処長は「2つの事故はそれぞれ個別の案件」との見解を示している。 
【表】