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サル駆除・冥銭燃やし、政府珍求人に批判


ニュース 社会 作成日:2010年10月6日_記事番号:T00025705

サル駆除・冥銭燃やし、政府珍求人に批判

 
 職業は千差万別だが、台湾は山から降りてきたサルを駆除したり、火葬場で冥銭(死者に供える金色の疑似紙幣)を燃やすという、一風変わった仕事もあるらしい。

 実はこれらの仕事、行政院労工委員会(労委会)が5日に発表した1万3,000件の短期求人の一部。雇用期間は半年間で、報酬は時給100台湾元、月給にして約1万7,600元で、先住民や中高齢者、ひとり親など社会的弱者が対象だ。

 ちなみに、サル駆除の求人は、高雄市柴山に生息する野生のサル約1,200匹が相手だ。下山してきたサルをパチンコや花火で威嚇して山へ追い返したり、おびき出して捕獲するほか、観光客がサルに餌を与えないよう広報・指導も行うというもの。冥銭燃やしは、火葬場でのヘルプ。安全管理や遺灰の後片付けも行う特殊な仕事で、長続きする人は少ないという。

 今回の雇用拡大策には18億元の経費が投入されている。もともとは各県市が1万5,000件の雇用機会を提供する計画だったが、どうしても仕事が足りず、苦肉の策としてサルの駆除や冥銭燃やしの仕事が無理やり「創出」されたらしい。

 このため、年末に行われる直轄市長選挙での票の取り込みが目的との批判も多い。1万3,000件の求人によって失業率(8月は5.17%)は0.1〜0.2ポイント下がるとみられ、呉敦義行政院長の掲げる「年内に失業率を5%以下に引き下げる」という目標が達成され、与党国民党の選挙に有利
に働くとの思惑が背景にあると指摘されている。

 統計数字のためだけのこうした小手先の対策では、失業問題の根本的な解決にはならないとの厳しい批判が上がっており、労働団体、全国自主工聯盟の朱維立執行長も「怠惰な公務員がやりたくない仕事をさせるのではなく、介護施設の従業員やぜんそく患者の世話人など、長期的な視点に立って失業問題を解決するプランを講じるべき」と指摘している。