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鴻海の中国小売展開、大手ブランドを囲い込み


ニュース 電子 作成日:2010年10月13日_記事番号:T00025880

鴻海の中国小売展開、大手ブランドを囲い込み

 
 EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)が、中国の大都市から農村部までを網羅する3C(コンピュータ、通信、家電)販路構築を進めている。独メトロと合弁の販売店を10月末に上海市でオープンするのに先駆け、中国地場の販売業者が幅を利かせる地方都市で既に10店の小売店を開設、年内に200店まで拡大する計画だ。鴻海は「ブランド名」を除く、製造から販売・修理まですべてのサービスを提供することで、顧客の完全な囲い込みを図る。13日付電子時報が報じた。
 

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 鴻海は、人口や経済規模などで分類された中国の1〜6級都市のうち、都市部に当たる1〜2級都市を中心に、流通世界3位のメトロと合弁で3C(コンピュータ、通信、家電)製品の大型専売店「Media Markt(メディア・マルクト、中国語名・万得城)」を出店するほか、3級以下の都市には従業員による出身地での小型小売店の起業を支援する「万馬奔騰」計画を推進するなど、市場に応じて5種類の販路展開を進めている。

 胡国輝・鴻海集団通路(販路)事業群総経理は、万馬奔騰計画について、広東省、江蘇省、河南省などで も9月末に出店を果たし、店舗数は現在10店に上ると明かした。また今後は、上海市周辺の江蘇省、浙江省、安徽省、山東省や、内陸部の四川省、沿海部の広東省で進展が見られるはずだとの展望を語った。同計画では、鴻海集団傘下、富士康国際(FHI)の広東省深圳市の龍華工場で今年5月初旬に1店舗目が開設された後、メディアの報道が途絶えていたため、目標達成を疑問視する声も出ていた。

 胡総経理は、万馬奔騰計画の店舗が単なる販売にとどまらないよう、製品の修理や回収に従事したことのある従業員による起業を望んでいるため、出店に時間がかかっているが、今後は出店スピードが加速すると強調した。電子時報によると、万馬奔騰計画に参加する従業員はまず3〜4カ月の研修を受けるが、既に100人以上が第1〜3期研修を修了し、現在第4期研修が始まっているもようだ。市場では、小型店舗の年内200店出店は人手、資金面を考えても不可能な目標ではないと観測されている。
 

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HPのモニター、部品80%を供給
 
 業界関係者によると、万馬奔騰計画が出店ターゲットとする3〜4級都市は、中国の地場ブランドが都市部に進出する前にまず参入する市場だ。一方、海外大手ブランドにとっては未知の市場で、販売代理店などを利用することが多い。鴻海が地場業者に対抗して3級以下の都市に短期間で大量出店することは容易ではないものの、海外大手ブランドにとって中国市場を制する鍵と言え、鴻海が販路構築に成功すれば、シェア拡大に貢献する。

 ヒューレット・パッカード(HP)の液晶モニターを例に取ると、鴻海は実に80%以上の部品を供給できるほど、生産の大部分を担っている。鴻海が中国の販路を握れば、顧客は鴻海に製造から販売まですべてを任せ、ブランドのロゴマークを貼り付けるだけで済むとさえ言える。鴻海は顧客との関係を一層密にできるが、ブランドメーカーは存在意義が問われることも考えられる。
 
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