市場調査会社ガートナーが13日に発表した第3四半期のパソコン出荷統計によると、宏碁(エイサー)の出荷台数は、前年同期比1.7%のマイナスとなり、ここ数年、低価格ノートPC(ネットブック)を武器に大幅な成長を続けてきた勢いが鈍っていることが明らかとなった。特に米国市場では同20%の減少で、タブレットPC「iPad」(同統計には含まれず)人気で急激にPC出荷を伸ばすアップルに逆転され4位に転落した。15日付工商時報は「今後エイサーは新たな秘密兵器を投入する必要がある」と指摘した。
世界2位奪回も弱い成長
ガートナーの統計によると、エイサーの第3四半期出荷台数は1,152万7,000台で、シェアは13.1%となり前期デルに奪われた世界2位の座を奪回した。一方同日発表されたIDCのレポートでも、シェアは米ヒューレット・パッカード(HP)に次いで2位となったが、出荷台数は1,164万4,800台で前年同期比7.0%増とガートナーの調査とは数字に差が見られた。
しかしいずれの統計でも、4位の聯想集団(レノボ)が33.0%、32.9%、5位となった華碩電脳(ASUS)が22.5%、30.5%、6位東芝が17.0%、14.6%と大きな成長を見せたのに比べ、エイサーの成長幅の低さが目立った。
また、IDCの統計によると米国市場では同期、アップルが「Mac」PCを前年同期比24.1%の大幅増となる約200万台(シェア、10.6%)出荷し、昨年第1四半期の時点ではほぼ2倍だったエイサーとの差を逆転した。
iPadの発売により、消費者のPC購入意欲が鈍り、その他ブランドの販売、特にネットブックの販売に大きな影響を与えた一方、アップルはブランドイメージを高め、PC製品の販売増につなげたとみられる。
iPadに続き、今後タブレットPCの発売が相次ぐ見通しで、ネットブック市場への侵食が懸念される中、ASUSの施崇棠董事長は14日、「顧客の意見を基にした当社の資料によると、両製品の市場は確かに重なる部分があるが、重複度はそれほど高くなく共生可能だ」との見方を示した。
しかしガートナーの北川美佳子主席アナリストは、「業務で使用するようなPCにタブレットPCが取って代わる可能性はないが、ネットブックや低価格の一般ノートPCには脅威となる」と指摘。ドイツ証券の高光正アナリストも「今年下半期iPadの出荷はネットブック需要の30〜50%を奪う」との予測を報告している。
中国での成功が「お守り」に
ただ、エイサーがランクを落とした米国市場は、全体の出荷台数が前年同期比3.8%増の1,887万台で、当初予測の11%増を大きく下回る不調となっており、工商時報は「エイサーは今後、世界最大のPC市場に成長すると予測される中国において、方正科技(ファウンダー・テクノロジー・グループ)との提携で成果を挙げることが成長の最大のお守りとなる」と指摘した。
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