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35歳「母乳の達人」、1年半で約10万cc寄付


ニュース 社会 作成日:2010年10月19日_記事番号:T00025971

35歳「母乳の達人」、1年半で約10万cc寄付


 台北市聯合医院婦幼院区には、アジアで最初に国際認証を獲得した母乳バンクがある。2004年12月の設立以来、計1,008人の母親が計1,000万cc余りの母乳を寄付し、1,244人の赤ちゃんがその恩恵を受けている。

 中でも新竹市在住で1歳4カ月の女の子を持つ李拯怡さん(35)は、この母乳バンクに多大な貢献を行っている。09年5月から現在に至るまで、330cc入り缶に換算すると297本分にも相当する計9万8,080ccの母乳を寄付しており、寄付した量でダントツのトップに立っている。李さんの母乳は良質で、検査合格率は97.03%。質、量ともにまさに「母乳の達人」といえよう。

 実は、李さんが母乳バンクの存在を知ったのは、出産後3カ月の時。今でこそあふれるような母乳に恵まれている李さんだが、出産直後は半時間かけてもやっと2、3滴しか出ないというつらい経験を持ち、母乳の出ない母親の苦しみを知っていた。母乳だけで育てている自分の娘が大変健康なため、余っている母乳が多くの子どもの役に立つのならと寄付を決心。夫も支持してくれたという。

 一般に、母乳バンクに登録した後は、まず医師による健康診断と血液検査を受け、肝炎や梅毒、エイズなどの病気の有無をチェックしなければならない。これに合格して初めて寄付することができるのだ。搾乳する際は、手を清潔に洗い、高温消毒した容器に母乳を絞り出す。絞り終わった容器は冷蔵庫の冷凍室に保存し、一定の量に達した後、集配スタッフに取りに来てもらうという流れだ。母乳を絞る時間は1回約15分だが、前後の洗浄や消毒などの時間も含めると、約1時間はかかる作業となる。

 ほかにも、3カ月ごとに血液検査を受け、肝炎などの病気にかかっていないことを確認しなければならない。李さんはこれらの苦労をいとわず、約1年半にもわたり母乳を寄付し続けているというから、並大抵のことではない。

 こうして母乳バンクに寄付された母乳は、早産で母乳が出ない母親や、病気で薬を服用しているために授乳できない母親に代わり、多くの新生児の成長を助けている。

 台北長庚医院の産婦人科医によれば、市販の粉ミルクは栄養価ではとても母乳にかなわない。一般に母乳は2カ月以上断乳期間があれば止まってしまうが、継続して搾乳した場合、5〜6年は出続けるという。李さんは「母乳が出なくなるまで続けるわ」と宣言。

 というのも、李さんは現在出産直後と比べ25キログラムも減量、すっかりスリムな体型に。これも母乳寄付のたまもので、授乳や搾乳でカロリーが消費されたからだ。人助けとダイエットが同時にできるとは、まさに一石二鳥ではないか。