馬英九総統は19日、米AP通信が配信したインタビュー記事で「2012年の再選後、中国と政治対話に臨む」と発言したと報道されたことに対し、APの誤報だとして訂正を求めた。APは「政治対話に臨む(is ready to)」の表記を「可能性がある(is open to)」に変更したものの、報道は正確だとして、最も刺激的な「12年に政治対話に臨む可能性」そのものについては修正しなかった。このため総統府はAPに抗議を行った。20日付中国時報が報じた。
馬総統は「台湾側には政治を協議する準備はできていない」と強調した(19日=中央社)
馬総統はインタビューでのやりとりについて、AP側に「経済問題の協議がまとまる前に中国と政治に関する話し合いを行うことはない」と語り、AP記者による「2期目の任期中に協議を行う可能性は?」という質問に対して「現段階でスケジュールはない。このスタンスは従来から全く変更はない」と回答したと説明した。その上で、「回答の中で『政治対話』と『2期目』は全く関連付けていない」と強調した。
野党陣営には、馬総統は再選された場合、従来からの政治的指向に従って、中国との統一に向けた地ならしを行うという警戒感が根強くある。直轄市長選挙まで1カ月余りに迫った微妙な時期だけに、総統府も「誤報」への対応に普段以上に神経を使ったとみられる。
馬総統は昨年12月にも、米メディアとのインタビューでの「統一の条件はまだ熟していない。今後数十年の情勢を見る必要がある」という発言で、当初「数十年(decades)」が「10年(decade)」と報じられ、物議をかもした経緯がある。微妙な言葉の違いが大きな誤解に発展する中台関係に関するインタビューで、馬総統が欧米メディアに必ず英語で答えることにも疑問が呈されている。