25日付経済日報によると、独フォルクスワーゲン(VW)が裕隆汽車製造に生産を委託するとの観測が出ている。両社は既に詳細を協議しており、11月末にも確定するようだ。早ければ来年にもメイドイン台湾の車種が誕生する見込みで、フォルクスワーゲンは2割近い値下げが可能となり、台湾販売台数が倍増すると見込まれる。さらに将来的には中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)に輸出する可能性もある。
市場観測によると、フォルクスワーゲンは台湾総代理の太古標達汽車を通じて、裕隆汽車と生産委託の価格、規模、生産フローなど詳細を既に話し合っただけでなく、多数の部品メーカーとの接触も開始しているようだ。
太古汽車の主管は、フォルクスワーゲンの台湾生産計画がどのような方式になるかは未定としながらも、まず人気のハッチバック車「Golf(ゴルフ)」など2車種の導入が想定されていると語った。 フォルクスワーゲンは台湾で組み立てを行うことで、台湾市場の自動車相場が台湾生産車1に対し輸入車1.6として試算すれば、販売価格を90万元前後から70万台湾元(約180万円)以下まで引き下げられる見込みだ。これにブランド力を加味すれば、もともと今年8,000台、来年1万台以上と見込まれるフォルクスワーゲンの台湾販売台数は急成長が予想される。
裕隆はフォルクスワーゲン車の受託生産が実現すれば、来年の生産台数が8万台まで成長する見通しだ。ただ、フォルクスワーゲンの生産委託は短期に限られ、将来的には自社で生産するとの見方もある。
また自動車部品については、当初は台湾での開発が間に合わず、輸入で対応する可能性もあるが、将来的には、プラスチック部品大手の東陽事業集団(TYG)や自動車用照明の受託生産最大手、大億交通工業製造などによる供給に切り替わるとみられている。
ECFA好感、中台分業も視野
フォルクスワーゲンは、中台間の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)発効後の商機、「メイドイン台湾」のブランドイメージ、台湾部品メーカーの実力を評価して、タイとの二者択一で台湾生産を選んだと経済日報は分析している。
業界関係者は、フォルクスワーゲンは中台に生産ラインを設置し、それぞれ異なる車種を生産する方針で、将来、中国だけでなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)などに輸出することも可能だと指摘した。フォルクスワーゲンは、2015年までにトヨタを追い抜き新車販売台数で世界首位に君臨するという目標を打ち立てており、東南アジアや中国の華南地区の市場シェア拡大が急務となっている。
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