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作成日:2010年11月4日_記事番号:T00026321
全土1万カ所で逆立ち、「台湾は逆から見ても美しい」
各地で逆立ちをした自分を撮影しながら、5カ月間かけて台湾を一周した男性がいる。曲芸師で「当機劇場」の芸術総監督を務める黄明正さん(27)がその人だ。旅行中撮りためた写真はなんと1万2,000枚に上った。2万キロメートルの旅を終えた黄さんは、「台湾は逆から見ても美しかった」と語った。
黄さんは、小さいころから逆立ちが得意で、10歳から本格的に雑技の訓練を開始した。国立台湾戯曲学院で8年間学んだ後、台北芸術大学で演劇を専攻。1995年には中国で行われた国際雑技コンテストに台湾代表として参加、銅賞を獲得している。そのほか映画出演を含め、さまざまな機会にパフォーマンスを披露しており、来る台北国際花卉博覧会(花博)の開幕イベントにも出演予定だ。
黄さんがこの一風変わった台湾一周旅行に出発したのは今年3月のこと。軽トラックを運転し、各地の夜市(ナイトマーケット)や広場、学校や養老院などで曲芸を披露して旅費を稼ぎながら旅した。
黄さんは阿里山や緑島、道路や屋根の上など、さまざまな場所で逆立ち姿を撮影。ベストショットを撮るには、1回に200〜400回も逆立ちをしなければならず、30〜90分かかったというから、結構大変だったようだ。
緑島の海辺では、逆立ちをしていたら突然大波が打ち寄せ、危うく波にさらわれかけるという恐い目にも遭った。上半身は裸で半ズボンだけの黄さんが逆立ちをしているのを子どもが見て、「ママ、変態がいる」と叫んだこともあったとか。
一方で苗栗の養老院では、お年寄りから「あなたが自分のやりたいことをやっているのを見てあたたかい気持ちになった」と感謝の言葉をかけられ、台湾の良さを感じたという。
「僕のことをクレージーだと言う人もいるが、そうじゃない。僕は世界を見る違う角度を見つけただけだ」と語る黄さんは、今回の旅からインスピレーションを得て、台湾初の曲芸劇「透明之国」を創作。12月に故郷の屏東や台北で公演を行う。2年後には世界各地を逆立ちして回りたいというのが、次の希望だ。