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中小企業、4割が5年で淘汰


ニュース その他分野 作成日:2007年9月13日_記事番号:T00002647

中小企業、4割が5年で淘汰

 
 経済部が12日発表した「2007年度中小企業白書」によると、産業界でも豊かな企業と貧しい企業の両極化(M字化)が進んでおり、資本金2億台湾元(約6億9,000万円)以上の大企業と同100万元以下の小企業が増加する傾向にある。中小企業の4割は5年以上経営を続けられず、「生存率」は3年連続で下落しているという厳しい結果が明らかになった。13日付工商時報が報じた。
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 白書が引用する財税資料センターの昨年の資料によると、資本金2億元以上の企業は過去4年で6,200社から6,800社に増加し、資本金100万元以下の小企業も73万社余りから81万社へと顕著な増加をみせた。

 小企業の増加はインターネットの発達で、「パソコン1台あれば起業できる」時代になったことが背景にありそうだ。しかし、たいていは初期段階で経営のボトルネックにぶつかり、中小企業は約1割が1年以内に倒産・廃業する。

 125万社の中小企業のうち、5年以上経営が続いた割合は61.9%で2年前から1%下落し、10年以上生き残っているのは42.1%と半分以下だった。一方、大企業は5年以上経営を続けている割合が過去最高の81.5%に上り、10年以上は6割となる。

 中小企業の生存率が低下傾向にあることについて黄文谷経済部中小企業処副処長は、「経営リソースが限られているため、内需低迷の市場環境に持ちこたえられず、海外進出のノウハウもないため」と指摘する。近年飲食店や衣料品店が開店後たちまち閉店するケースが目立つのも、こうした状況を反映しているという。

 また中小企業は資金獲得にも困難が伴い、白書によると、政府が実施した中小企業向け融資によって、資金獲得に困難さを感じる企業の割合は一昨年の3割から2割へと減少したものの、大企業に比べ依然高い数値となっている。
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産業構造が大企業型に移行

 黄副処長によると、以前は中小企業が直接輸出を行うことが多かったが、近年は世界的な生産チェーンの変化を受けて、多くの中小企業が大企業と提携して輸出する方式を採用した結果、中小企業の数値が大企業に移行し、輸出総額に占める中小企業の割合は10年前の26.4%から17.9%に下落した。

 売上高も伸びてはいるものの、伸び率は大企業に遠く及ばず、産業界全体の売上高に占める割合も、1985年の40%から29.8%へと落ち込んでいる。

 中小企業は雇用件数も減少しており、昨年の就業者数は775万人と前年比10万3,000人増加したが、総就業人口に占める割合は02年の78%から昨年は76.7%へと低下し、台湾の産業構造がより大企業型に変化していることをうかがわせる。

 黄副処長は、ますます競争が激化し生き残りが難しくなる状況の中、関連機関の適切な支援、指導を受けることが中小企業の競争力と生存率の向上にとって非常に重要だという見方を示した。97年設立の中小企業創業育成センターの指導を受けて起業した中小企業はこれまで計2,817社に上るが、設立3年後の生存率は9割を超え、中小企業全体平均をはるかに上回っていると例を挙げ、政府はこうした支援を継続していく方針だと語った。
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