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台プラ、中米越で113億ドル投資


ニュース 石油・化学 作成日:2010年11月15日_記事番号:T00026556

台プラ、中米越で113億ドル投資

  
 台塑集団(台湾プラスチックグループ)は来年から3年間で合計約113億米ドルを投じ、中国、米国、ベトナムで石油化学、製鉄事業の大規模な生産能力拡充を進める計画だ。王文淵総裁は13日、「台湾の石油・化学、プラスチック、紡織産業は既に飽和状態に達しており、今後は海外での増産を全力で図る」と語った。一方台湾では、ハイテクおよびグリーエネルギーなどの新事業に注力する構えだ。14日付工商時報などが報じた。
 
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台プラ恒例の運動会でマラソンの号砲を鳴らす王文淵総裁。運動会は王永慶氏死去以後、初の開催となった(13日=中央社)
 
 台プラグループの売上高は現在、依然台湾での事業によるところが大きく、中国事業の売上比率は7.8%、米国は7.3%、ベトナムは0.5%を占めるにすぎない。

中国の売上比率を15%に
 
 台プラは中国・浙江省寧波市の北崙石油化学区で、第1期投資として累計24億米ドルを投じており、現在グループ全体の4.6%を占める売上高を上げている。さらに約23億米ドルを投じる第2期拡張計画を進めており、年末にも中国当局による投資認可が得られる見通しだ。同計画で生産開始が予定される2年後には、中国事業の売上比率が15%へと拡大すると見込む。

 米国で「シェールガス」という新型の天然ガスが開発されるようになり、台プラ米国子会社のエチレン、プロピレン生産における原料コストは1万BTU(英国式熱量単位)当たりわずか3〜4米ドルまで低下し、収益力が大幅に向上している。

 台プラは今後米国で約10億米ドルを投じてナフサ分解プラントを増設、生産能力をエチレンで年45万トン、プロピレンで同40万トン増強する計画だ。2012年の着工、14年の量産開始を見込み、実現すれば米国でのエチレン年産能力は現在の155万トンから200万トンに拡大することになる。

 一方、ベトナムでは約80億米ドルを投じて北中部ハティン省に大型一貫製鉄所を建設する計画を進めており、初期生産能力は年750万トン。来年2月に海岸の埋め立て工事を開始、3年後に量産を開始できる見通しで、ベトナム国内市場および東南アジア各国への輸出を予定している。

 なお最近、1バレル=90米ドル近くまで上昇している国際原油価格の見通しについて王総裁は、「来年は85米ドル付近で推移する可能性が高いが、実際は誰も予測できない」とした上で、「08年の140米ドルまで上昇することはないと思うが、100米ドルに達することはあり得る」と語った。
 
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主要4社トップ、「王家以外から」
 
 王総裁はグループの後継体制について、「5〜10年後にグループ主要4社の董事長職を、王一族から専門の経営幹部の手に引き渡す」と表明し、今後育成を強化する考えを示した。

 現在台プラ主要4社のうち、王一族が董事長を務めるのは台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)と台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)のみで、「王家第2世代とプロパー幹部の混合体制」となっている。

 王総裁は「経営権を専門幹部の手に委ねることは、同グループ創業者、故・王永慶氏の当初からの構想だった」と強調し、「主要4社の董事長から王の名が消えた時、永続企業への道を進むことができる」と語った。ただ、「重要なのは董事長ではなく、グループのリーダーだ」とも話している。
 
【表】