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自転車を運ぶタクシー、どん底からブームつかむ


ニュース 社会 作成日:2010年11月16日_記事番号:T00026557

自転車を運ぶタクシー、どん底からブームつかむ

 
 林中強さん(44)は4年余り前、投資に失敗し、自宅を売り払ってもまだ700万台湾元足りない、という大借金を抱える身となった。妻も2人の子どもを連れて去った。その後、林さんは再起をかけタクシードライバーとなったものの、長時間労働で稼ぎはわずか。揚げ句の果てに交通事故を起こし、さらに多額の賠償金まで背負ってしまった。

 絶望のどん底に突き落とされ、自殺しようと思い詰めた林さんを救ったのは、家族や友人の励ましだった。母親はへそくり10万元をはたいて新しい車を、友人たちは共同でカーナビを贈ってくれたのだ。

 そんな林さんにある日、転機がやってきた。トランクを半開き状態にして自転車を載せている車を目にした林さんは、「自転車を運ぶ需要もあるはずだ!」とひらめいた。さっそくタクシーの後部に自転車用キャリアを装着。「自転車運送専用」のプレートを付け、営業を開始した。

 しかも台湾は近年、サイクリングブームの真っ只中で、林さんの狙いは的中した。自転車レースやイベントなどでの運搬、自転車の故障やけがなど緊急事態発生の際の救援のほか、自転車ショップ間での商品のやりとりや、出荷時の宅配サービスなど十分な需要があったのだ。

 ブログを開設してネットでの宣伝も強化。自転車の取り扱いが丁寧で、しかも時間厳守、メーター通りで追加料金なし、といった良心的なサービスがだんだんと口コミで広まり、サイクリング愛好家たちの間で「自転車運ちゃん」として林さんの名が知れわたるようになった。

 今では月に5万元近い利益を得られるようになった林さんだが、「もうけを追求しようとは二度と思わない。自分が必要とされている満足感は何ものにも替え難いから」と明るい笑顔だ。