ニュース 政治 作成日:2010年11月23日_記事番号:T00026704
台南市と台南県が合併して行われる新・台南市長選挙は、民進党の頼清徳氏(51)と国民党の郭添財氏(48)の一騎打ちだ。台南市は民進党陣営の牙城で、頼氏が優位に選挙戦を進めている。
現職2人を抑え候補に
頼清徳氏は台北県万里郷出身。成功大医学系を卒業後、米ハーバード大留学を経て成大医院などに勤めていた医師で、1994年、故・陳定南氏が民進党公認候補として台湾省長選に出馬した際、医師後援会の招集人を務めたことがきっかけで政界入りした。国民大会代表を経て98年に立法委員に初当選。以後4回連続で当選を果たしている。
頼氏は今年5月、民進党の公認候補を争う予備選挙で、台南市の許添財現市長、台南県の蘇煥智現県長の現職2人を大差で破った。許氏は最新の全土25県市首長の施政満足度ランキングで5位を獲得するなど市民の評価は高く、そうした現職に勝利することは本来容易ではないが、それだけ頼氏への期待度が高かったということだ。頼氏は立法委員の提案や発言などを評価する「公民監督国会聯盟」により、今年8月まで4回連続1位評価を得ており、こうした仕事ぶりと若く清新なイメージが支持を集める理由とみられる。容貌も秀でており、女性票の支持は絶大だという。
教育畑を歩む
国民党の郭添財氏は台南県南部の関廟郷出身で、台南師範専科学校卒、政治大学で教育学博士を取得後、33歳で彰化県教育局長に就任、その後、致遠管理学院(現・台湾首府大学、台南県麻豆鎮)副校長を務めるなど、教育畑を歩いてきた。01年、国民党の公認を得て立法委員選で当選するも、再選を目指した04年は落選した。このため05年末の台南県長選に立候補し、民進党の蘇煥智氏に敗れるも善戦したとの印象を与えた。
今年5月に国民党の公認を得た際、同党支持層による支持率調査では李全教・台南県党部主任委員とほぼ互角だったが、党中央の調整により5市の中で一番最後に候補者に決まった。
総統選見据え大勝狙う
両候補の支持率は10月末の段階で、国民党寄りメディアでも、聯合報で頼氏48%、郭氏24%、中国時報で頼氏51.7%、郭氏23.1%と大差がついており、選挙戦はやや盛り上げりを欠いたものになっている。
こうした中、頼氏は「直轄市長選は馬英九総統に不信任投票を投じるための選挙」と呼び掛け、陣営の引き締めを図っている。民進党は再来年の総統選の前哨戦と位置付ける今回の選挙で、5市全体の得票率で国民党を上回ることを目標としており、地盤の台南市で票の大幅な上積みを図って党勢回復に自信をつけたい考えだ。
また、頼氏は「寝ていても勝てる」とさえ言われているが、仮に楽勝ムードを漂わせた場合、許添財氏や蘇煥智氏の支持層の反感を買って、当選後の支持層統合に悪影響を及ぼすとの判断もあるという。特に許氏は8月まで民進党を離党して出馬するとの情報が頻繁に伝えられ、結局は立候補を見送ったものの、21日行われた頼氏の大型集会も欠席するなど感情的なしこりを残しているとみられている。頼氏はこのため、低姿勢を保ちつつ日々の選挙日程をこなしている。
一方、郭氏は与党候補で中央政府とつながりを持つメリットや、教育重視の公約を訴えつつ、地盤の台南県を固めて台南市へと支持拡大を図る戦略だ。台南出身であることは、台北県出身の頼氏との違いを際立たせるべく強くアピールしている。ただ、頼氏の優勢を覆すのは困難とみられる。
民進党のニューリーダーへ
民進党陣営で、5直轄市長選で勝利した候補者は、次の時代の指導者候補となる資格を手にすることになる。同党は現在、陳水扁・前総統(既に離党)、呂秀蓮・前副総統、謝長廷・元行政院長らをはじめ、1979年の民主化運動弾圧事件「美麗島事件」に関係したリーダー層からの世代交代が段階的に進んでいる。こうした中、頼氏は蔡英文主席や蘇貞昌・元行政院長のような陳水扁政権で閣僚を務めた経験を持たず、また台南を地盤としながら陳前総統との関係は薄いため、過去と一線を画した斬新なイメージを持ち味にできる。
民進党は仮に台中以北の3市で所期の結果を得られなくても、頼氏という次世代の指導者候補が第一線に現れることに、今回の5直轄市選の意味を見出すことができるのではないか。
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