経済部統計処が23日発表した10月の小売業売上高は前月比7.65%増、前年同月比7.11%増の3,080億台湾元(約8,420億円)に上り、1999年の調査開始以来で最高を記録した。百貨店業界が新規出店と周年慶(創業祭)セールで初めて300億元を超えたほか、円高、ユーロ高による値上げを前に自動車の駆け込み需要が増えたことが主因だ。経済部は、通年売上高は前年比5.79%増で過去最高の3兆4,700億元に達すると予測している。24日付工商時報などが報じた。
小売業売上高のうち、百貨店業(ショッピングセンターを含む)は過去最高の313億元で、前月比85.62%増の高い伸びをみせた。前年同月比では11.74%増だった。蔡美娜・経済部副統計長は、富邦集団のmomo百貨(台北市南京東路)と統一阪急百貨台北店が6、7日に相次いでオープンした効果によるものと指摘した。蘋果日報によると、百貨店業界でこの時期恒例の周年慶セールも業績を押し上げ、新光三越百貨は10月、台湾全土の店舗で平均1割増収、遠東百貨は前年同月比27.32%増の41億500万元を記録した。業界関係者は、全体で2割成長、うち防寒グッズや高価格商品は3割の成長を見せたと語った。
また小売業のうち、自動車・バイクやその部品の売上高も前月比3.11%増、前年同月比17.14%増の375億元と伸びが目立った。
蔡・副統計長は、1〜10月の新車登録台数が前年同期比21%増の26万4,000台で、うち台湾生産車は18%、輸入車は33%成長したと指摘した。通年では約32万台を見込む。
政策的要素はなし
蔡・副統計長によると、小売業の月間売上高が3,000億元を上回ったのは過去4回のみだ。うち2回は金融危機後の景気刺激策の一環として1人3,600元の消費券が配られた昨年1月(3,011億元)、および自動車購入に対する貨物税(物品税)減税措置の期限切れ直前で駆け込み需要が増えた同年12月(3,038億元)で、政策的に購買意欲が刺激されたことを受けたものであるため、今年7月(3,014億元)と10月の2回こそが純粋に景気好調を反映したものと言える。
商業全体の売上高も過去最高
経済部統計処の統計によると、10月の卸売・小売・飲食業界全体の売上高も、前月比3.17%増、前年同月比7.93%増の1兆2,111億元で過去最高だった。うち卸売業は前月比1.68%増、前年同月比8.09%増の8,747億元、飲食業は前月比2.84%増、前年同月比12.03%増の284億元だった。蔡・副統計長は、中国の国慶節(建国記念日)連休(10月1~7日)があったため、中国人観光客も飲食業売り上げに大きく貢献したと指摘した。
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