民進党の呉乃仁秘書長が、直轄市長選挙の当選者が2012年の総統選挙に出馬することもあり得ると発言したことが、選挙戦終盤の争点となっている。
台北県三重市で行われた朱立倫・新北市長候補(左2)の応援集会に参加した馬英九総統(右2)(25日=中央社)
26日付中国時報によると、台北県の直轄市昇格に伴う新北市長選は、国民党の朱立倫・前行政院副院長と民進党の蔡英文主席が終盤まで激戦と繰り広げているが、国民党サイドは25日夜、馬英九総統が民進党支持者が多い三重市に入り、呉秘書長の発言を厳しく批判した。
馬総統は、民進党の蔡英文氏が仮に新北市長に当選しても、12年の総統選に出馬を目指すのではないかと疑問を呈し、台湾語で「呷碗内看碗外」(碗に取った料理を食べ終わらないうちに、テーブルの上のほかの料理に手をつけようとしている)と皮肉った。
朱立倫氏も「民進党が市長当選者の総統選出馬を容認することは、中間支持層を侮辱する行為だ」と批判した。
民進党サイドとしては、選挙戦終盤に国民党に攻撃材料を与えた形となったが、蔡英文氏は「新北市長に当選するという目標は明確だ。政見を実現し、新北市を一流の直轄市にしてみせる」と強調。呉秘書長の発言については、「メディアの計略にはまったのではないか」と不快感を示した。
一方、台北市長選に出馬している蘇貞昌元行政院長も次期総統選の民進党有力候補とされるが、同氏は「選ばれたら4年間務める」と明言した。