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中台関係の基調に変化なし、スピードは微調整も【表】


ニュース 政治 作成日:2010年11月28日_記事番号:T00026826

中台関係の基調に変化なし、スピードは微調整も【表】

 
 国民党が馬英九政権に対する中間評価となる直轄市長選で勝利を収めたことで、中台関係が拡大に向かう基本基調に大きな変化はないとみられるが、市場開放のスピードは微調整を迫られるとの見方もある。
 
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 今回の直轄市長選で、対中政策は直接の争点とはならなかったが、有権者は間接的に馬英九政権の対中政策にひとまず支持を表明した格好だ。台湾経済は海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結による経済効果で、今年の域内総生産(GDP)成長率が9.98%(行政院主計処予測)に達すると見込まれるなど、中台関係拡大による恩恵を大きく受けている。産業界は「台湾経済の生命線」となった中国との関係がこじれることを最も恐れていたため、今回の選挙結果に胸をなで下ろしている。

 しかし、5市全体の得票数で民進党が国民党を上回るなど、必ずしも有権者から完全な信任を得たとは言えない部分もあり、馬英九政権は来年末以降の立法委員選、総統選を控え、第2弾の市場開放には慎重にならざるを得ないとの見方も出ている。

 当面の重要日程は、来月台北で開かれる第6回中台民間トップ会談(江陳会)となる。交渉の行方次第では、来年2月の春節(旧正月)ごろにもアーリーハーベスト(早期実施項目)以外の分野の商品貿易に関する市場開放交渉が始まる見通しだ。このほか、台湾側では週明けにもECFAに基づく「両岸経済合作委員会」が正式に発足する見通しだ。

 中国政府は28日昼までに公式の談話などは発表していないが、胡錦濤政権は選挙結果を歓迎しながらも、全体の得票数で民進党が優勢だったことを冷静に受け止めているとみられる。

 中国社会科学院台湾史研究センターの褚静濤研究員は、香港の中国系紙、文匯報の取材に対し、「選挙結果は前向きなもので、両岸(中台)関係は安定した発展が見込める」とした上で、「来年から再来年にかけては、台湾で二大政党間の競争がさらに過熱化する可能性がある」と指摘した。

 同院台湾研究所の王建民研究員は「台湾の有権者構成が既に変わったことに注意を払うべきだ。国民党は今後2年、両岸問題にさらに慎重に対応せざるを得ない。今後の両岸関係はさらに複雑になるのではないか」と述べた。