5直轄市長選挙で、高雄県と合併する高雄市は民進党現職の陳菊候補が得票率52.8%(82万1,089票)で再選、台南県と合併する台南市は民進党の頼清徳候補が得票率60.41%(61万9,897票)で初当選し、予想通り民進党候補が圧勝した。民進党は2008年の総統選挙で、現高雄市と現台南市では国民党陣営に票数で下回ったが、今回は12年の次期総統選に向け基盤を固め直すことができた。
陳氏は現高雄市の11行政区すべてと現高雄県26区中23区で大きくリードして82万1,089票を獲得。「高雄内の地域格差をなくし、引き続き改革を進める」と宣言した。無所属の高雄県長、楊秋興氏は、2期目で地元と強いつながりを持つものの、民進党を離党したため同党支持者の票を集められず41万4,950票(26.68%)。国民党の黄昭順候補は、馬総統が有権者に支持を訴えたものの、同党支持者の票の一部が楊氏に流れ31万9,171票(20.52%)に終わった。票割れの結果、どちらか一方に票を集める「棄保」効果が表れず、2人合わせても47.20%で陳氏に届かなかった。06年の市長選で陳氏は、対抗馬の国民党、黄俊英候補に1,000票余りの差で勝つ接戦を演じたが、今回は楽勝となった。企業誘致や港湾再開発などの経済対策、五輪で採用されていない競技の国際大会「第8回ワールドゲームズ高雄大会」成功などの実績が評価されたとみられる。
圧勝に喜び踊る陳菊氏。9月の台風11号(アジア名・ファナピ)上陸による洪水被害の際、職務怠慢があったと国民党より告発されたが、選挙情勢に影響はなかった(27日=中央社)
台南市は、立法院でのパフォーマンスに定評があり、良好なイメージと高い知名度を擁する頼氏が、国民党の郭添財候補(40万6,196票、39.59%)に20万票以上の大差を付けて下した。頼氏は5直轄市で最も早い午後6時34分に勝利宣言し、「人生で最大の光栄で、無限の責任を感じている」と語った。一方、郭氏は政界からの引退を表明した。