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馬総統「両岸政策は変更せず」 、選挙結果に自信


ニュース その他分野 作成日:2010年11月29日_記事番号:T00026864

馬総統「両岸政策は変更せず」 、選挙結果に自信

 
 馬英九総統は5直轄市長選挙から一夜明けた28日、既定の対中政策とスピードを変更する考えはないと発言した。中台関係が選挙の争点に挙がらないまま、国民党が北部・中部の3市を維持したことで、現在の対中政策が有権者に受け入れられていると判断した。政治的な不確定要素が消えたため、金融業の規制緩和や中国人訪台客の拡大が引き続き進められる見通しだ。ただ国民党内には、性急な推進は本土派の反発を招き2012年の総統選挙で不利になるとの懸念もある。29日付経済日報などが報じた。
 
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馬総統は28日、民進党との痛み分けに終わった選挙結果を受けて「おごらず悲観せず、一致団結して改革、民主化を進めよう」と語った(28日=中央社)
 
 張栄恭・国民党副秘書長は選挙結果について、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結を含む両岸(中台)政策の成功が証明されたと語った。また、民進党は中間票を取り込むために中台関係を取り上げなかったが、12年の総統選では避けられないテーマだと指摘した。

銀行の中国展開「大幅緩和も」

 選挙前に中台間の金融開放は足踏み状態だったが、今後再開される見通しだ。行政院金融監督管理委員会(金管会)の関係者は28日、「次は大幅な開放となる」と語った。

 経済日報によると、金管会が検討している項目は、▽台湾資本の銀行の中国支店の与信限度額は当地の預金残高と融資残高の2倍を上限とする規定を3倍に緩和。または運転資金も算入して計算▽銀行のオフショア金融部門(OBU)による中国企業または中国エリア向け与信限度枠の引き上げ▽銀行や金融持ち株会社の、中国投資の上限枠引き上げ──など。
 
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中国人訪台客、1日1万人目標にめど

 交通部観光局は、中国人訪台客受け入れ上限を2012年に1日当たり1万人とする馬総統の選挙公約の実現に向け、中国人ビジネス客および観光客の自由旅行解禁を急ぐようだ。観光局関係者は、馬政権は観光産業での業績を最も重視していると強調。年初来の中国人訪台客はビジネス客も加えると既に延べ160万人を超え、交通部がツアー客対象に制限している1日当たり3,000人を上回っている。政府は来年6,000〜7,000人、12年には1万人が訪れると予測しており、これを基に試算すると中国人訪台客は来年220万人、再来年360万人に達する見通しだ。

「傾中」レッテルに懸念

 ただ国民党内でも、当面の中国との経済交流拡大に慎重な意見がある。中国に過度に傾斜しているとのイメージが固まると、1年余り後に迫る次期総統選で、たとえ中間層の支持を得られても本土派の票獲得は見込めないとの判断からだ。この問題での綱引きが、開放スピードにどのような影響を与えるか注目される。
 
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