韓国液晶パネル大手、サムスン電子とLGディスプレイ(LGD)は2日、中国での液晶パネル先端工場の投資に、同国政府の認可を受けた。来年にも世界最大の液晶テレビ市場となると予想されている中国での展開で、台湾、日本の同業メーカーを一歩リードした形で、台湾の友達光電(AUO)と奇美電子(チーメイ・イノルックス)はシェアを先取りされる恐れが強まっている。3日付工商時報などが報じた。
サムスンとLGDに対する認可は2日、中国メディアの北京商報、中国電子報でも報じられた。中国電子視像行業協会の郝亜斌副会長は、「両社は技術の蓄積、投資額などの指標で常に先行していたために認可を得られた」とコメントした。
中国電子報はまた、資訊工業策進会市場情報中心(MIC)の葉貞秀アナリストによる、「サムスンとLGDの製品は全体的に台湾メーカーよりも優れており、特に発光ダイオード(LED)と3次元(3D)の次世代技術で優位は顕著だ」との説明も紹介した。
業界関係者は、韓国勢が認可を受けた背景に、中国の複数の家電ブランドとの間で提携の約束があり、それが決め手になった可能性を指摘した。その上で、台湾勢にとっては提携できる中国企業が減ることを意味するため、「チャンスが失われつつある」と警鐘を鳴らした。
また、ディスプレイ市場専門の市場調査会社、米ディスプレイサーチの謝勤益・大中華区副総裁も、韓国2社に加えて中国の京東方科技集団(BOE)の8.5世代工場、TCL集団と深超光電との合弁、華星光電の8.5世代工場が建設中であり、AUOと奇美電は将来の中国でのシェアが縮小する恐れがあると指摘した。
投資額計62億米ドル
サムスンは江蘇省蘇州に投資額22億6,000万米ドルで、7.5世代工場を建設。LGDは広州に投資額40億米ドルで8.5世代工場を設ける。ともに2012年初旬の生産開始を計画している。
AUOは今年3月、江蘇省昆山での7.5世代工場建設の認可を経済部投資審議委員会(投審会)に申請したが、8カ月半がたった今も審査が行われていない。李焜耀・AUO董事長はこれまでたびたび政府に早期認可を求める発言を行っているが、2日は経済日報の電話取材に対しコメントを拒否した。AUOの審査に関して、黄重球経済部次長は11月30日の会議にかけることを見送った際、「現在関連機関の意見をまとめている最中だ」と説明している。
一方、奇美電の陳彦松財務長は、「中国に投資する工場の規模は引き続き検討している。現段階では南部科学工業園区(南科)高雄園区(高雄県路竹郷)で計画している8.5世代工場の生産能力拡大が優先課題だ」と発言した。
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