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振替休日、再来年に導入も


ニュース その他分野 作成日:2010年12月14日_記事番号:T00027182

振替休日、再来年に導入も

 祝祭日が土日と重なった際に吸収されてしまう現状を改め、振替休日制度を導入しようという機運が高まっている。国民党の立法委員らが、長時間労働の改善や個人消費の活性化などのメリットがあるとして関連条例の改正案を提案、13日に立法院司法法制委員会で審議が行われた。本会議で可決されれば、早ければ2012年にも導入される。ただ産業界からは、休日が増えれば企業の運営コストが高まり、台湾の国際競争力に影響すると反対の声が上がっている。14日付経済日報が報じた。


  呉育昇立法委員(国民党)は「紀念日及節日実施条例」の改正を求める理由について、祝祭日が土日と重なっても振替休日がない現状は政府や企業が一般市民の休日の権利を奪っているに等しく、短い連休でも経済の活性化に貢献すると主張。また、企業のコスト上昇にはつながらないと強調した。呂学樟立法委員(国民党)は、台湾の労働時間は世界的に見ても長く、この状態が続けば住民の健康に悪影響を及ぼすと懸念を表明した。

 行政院主計処の統計によると、2009年の1カ月当たりの平均労働時間は台湾が176.7時間、韓国が169.6時間、日本が154.1時間だった。

 人材バンクの6月調査によると、台湾の平均労働時間は1日9.3時間で、30%は10時間以上働いている。さらに年間20〜30人が「過労死」で命を落としているという。

住民の6割、現状維持を希望=内政部

 紀念日及節日実施条例の改正案は現在、立法委員、行政院がそれぞれ提出した4種類がある。行政院版の規定では祝祭日による休日は11日で、土日を含めると来年の年間休日は115日となり、春節(旧正月)と除夕(旧暦の大みそか)以外は土日と重なっても振替休日はない。来年以降20年間の平均年間休日は113.2日だ。一方、丁守中立法委員(国民党)の改正案には、清明節、端午節、中秋節の振替休日も含まれる。呉立法委員の改正案では、あらゆる祝祭日が振替休日の対象となる。

 ただ林慈玲・内政部次長は、内政部が4月に実施した世論調査では住民の61.3%が現状維持を望んでおり、振替休日を必要としていないとの見方を示した。これに対し、インターネットユーザーからは「調査対象の大部分が経営者ではないのか」「住民投票を実施すれば賛成が多数を占める」と反論が続出した。

「2倍の賃金支払が必要」

 一方、中華民国全国商業総会の張平沼理事長は、台湾では現在でも1年365日のうち3分の1が休日に充てられており、振替休日が導入されれば該当日に従業員に出勤を要請した場合、賃金を2倍払わねばならず、企業のコスト負担増は避けられないと指摘。さらに、立法委員は有権者に取り入るために台湾の国際競争力低下に目をつぶるのではなく、企業が国際舞台で戦わなければならない現代において、景気の良いときこそ生産性を高めることに注力すべきだと提言した。

 なお行政院労工委員会(労委会)は、紀念日及節日実施条例の主な対象は公務員である上、現行の労働基準法(労基法)でも休日を振り替えることは可能だと説明した。

【図】