ニュース 電子 作成日:2010年12月15日_記事番号:T00027214
台湾元は14日、取引時間中の対米ドルレートが1米ドル=29.89元まで上昇し、13年ぶりに29元台を記録した。元の急上昇を受けて電子業界は今第4四半期、ノートパソコンの受託生産や半導体各社が粗利益率の低下に見舞われる見通しだ。15日付工商時報などが報じた。
ノート受託大手、広達電脳(クアンタ・コンピューター)は「元高は粗利益率にとってマイナス要素だ」と指摘。同社の第3四半期の粗利益率は3.66%で、第2四半期の3.42%から0.24ポイント改善したが、証券会社は元高が今期の粗利益率に大きな影響を及ぼすと観測している。
和碩聯合科技(ペガトロン)もクアンタと同様の見方だ。同社は第3四半期、台湾元上昇で粗利益率が0.7〜0.8ポイント下落。最近の元高の勢いから第4四半期はさらに下落が進むとみている。
なお、同日付蘋果日報によると、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は「顧客と協議の上、コスト上昇を反映させたい」との考えを示した。
ファウンドリー大手、受託価格の下げ幅抑制
半導体業界では、同日付経済日報によると、台湾積体電路製造(TSMC)、聯華電子(UMC)のファウンドリー大手2社が、元高を受けてIC設計の顧客に対し、来年の受託価格の引き下げ幅の緩和を求めている。ファウンドリーは受託価格を四半期ごとに約5%引き下げているとされるが、今回は下げ幅抑制によりIC設計業者の粗利益に影響が出る見通しだ。
元高による第4四半期売上高の減少幅は、TSMCが2%、UMCが6%とみている。
パッケージング・テスティング(封止・検査)では、日月光半導体(ASE)、矽品精密工業(SPIL)の第4四半期の粗利益率が、1.5〜2ポイント低下すると予想されている。
一方、半導体業界からは、元高は売上高と粗利益率に影響するものの材料や設備の調達には有利で、「全体として影響は限定的」との見解も出ている。
「20元台常態化も」
台湾元が1米ドル=20元台に突入したのは、名総裁との評価が高い彭淮南・中銀総裁の就任(1998年)以後初めてで、これまで1米ドル=30元が「彭淮南防衛ライン」と呼ばれてきた。
来年は消費者物価指数(CPI)の1.85%上昇が予想されており、インフレ懸念がある中で、中銀は輸入物価を下落させる意図で台湾元上昇を容認したとみられている。銀行業界からは中銀の姿勢の変化に、「今後1米ドル=20元台が常態になっても意外ではない」との反応が出ている。
なお、台湾元の15日の対米ドルレートは、午前の終値で1米ドル=29.912元となった。
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