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サラリーパーソン給与、南北で格差深刻


ニュース その他分野 作成日:2010年12月20日_記事番号:T00027303

サラリーパーソン給与、南北で格差深刻

 サラリーパーソンの北部と南部の給与格差が深刻な状態となっている。20日付中国時報によると、台北市の平均月給が4万9,200台湾元(約13万8,000円)である一方、台南市は3万1,700元、台南県は3万3,000元で、台北市の3分の2の水準だ。ビジネスの台北市への一極集中がもたらした弊害と言える。

 台南のある従来型産業の有名企業でマーケティング企画を担当する「小黒」は、在職5〜6年で月給は3万元。台北で同じ仕事をする同級生が2倍の給料を得ていると知って挫折感を味わった。

 修士の学歴を持つ「小伶」は台北で有名化粧品会社に勤め、5万元近い月給を得ている。以前、出身地に近い台南で同様の仕事を探したことがあったが、その際、経営者から月給3万元を提示され「これが台南の市場価格だ」と言われた。「小伶」は「出身地に近いところで仕事をしたいが、就職市場が小さく給料も低いためどうしようもない」とあきらめ顔だ。

 大学卒業後、台北でマスメディア業の仕事をしていた「小宏」は、昨年30歳になったのを機に出身地の台南に帰り、ある有名企業に転職した。両親の近くで暮らすという願いはかなったものの、4万8,000元だった給料は一気に約2万元減った。「友人たちは給料が上がっているのに、自分は下がっている」と何とも言えない気持ちだという。台南は台北よりも生活費を大幅に抑えれられるものの、給料があまりに低いと達成感を抱けない。

「経営者の意識がポイント」

 行政院労工委員会(労委会)職業訓練局・台南就業服務站の楊明恵広報担当によると、給与の南北格差は、南部の経営者の意識がポイントになっていると指摘する。台南の従業員給与水準はだいたい3万元以下だが、細かく計算すると生活物価の高い台北よりも台南は相対的に安い上、他の経営者が給与引き上げを行わないのに、あえて昇給に踏み切ろうとしない姿勢が見られるという。

 南部には南部科学工業園区(南科)の各園区が展開しており、電子やバイオテクノロジーなどの学科の卒業生は多くの就職機会を得られるが、その他の学科卒の大部分の学生にとっては厳しい。英文学科を卒業して貿易会社に入ったものの、入社8年で30歳を過ぎても月給は入社当時と大差ない約2万4,000元、といった例もある。

大卒でも時給100元以下

 企業が正社員の採用を減らして派遣やパートタイムに切り替える傾向は南部でも同じで、この結果「飢え死ぬことはないが養えない」という人が増えている。

 「小米」は大学卒業後、百貨店でレジの仕事をしており月給2万元。生活費などで毎月ほぼ使い果たしてしまう。ボーイフレンドも大卒の警備員で、2人合わせても月収は4万元余り。結婚したいが生活していけるか不安だ。

 金融危機後、多くの企業が従業員の給与、福祉を保障しなくなった結果、「働くほど貧しくなる」と感じる「ワーキングプア」に陥る人が増加した。大卒でも1時間当たり100元以下で働くケースは珍しくない。

月3万元以下が44%

 中国時報によると、台北市を含め、台北県、基隆市、新竹県、桃園県、宜蘭県など北部のサラリーパーソンの平均年収は52万元、月換算で平均4万3,300元の一方、台南県市、高雄県市、屏東県など南部の平均年収は約41万元で、月換算で平均は3万4,100元となる。

 北部でも台北市に隣接した台北県は平均月給3万6,700元で、南部と大差がない。このため北部の就業人口の約半分、200万人を抱える台北市が1市で全体平均を引き上げていることが分かる。

 なお行政院主計処によると、今年全土で月収3万元以下の被雇用者は359万7,000人で、全体の44.6%を占めた。2万元以下も103万8,000人で12.9%で、2年連続で100万人を超えた。

【図】