ニュース その他分野 作成日:2010年12月23日_記事番号:T00027391
行政院労工委員会(労委会)は22日、過労死の認定基準の大幅緩和を発表した。対象疾病を新たに4項目加え、時間外労働の基準を引き下げたほか、労働者側と雇用主で過労死の認定をめぐって見解が分かれた際に、雇用主に明確な証拠の提示を必要としたことが特徴だ。23日付経済日報などが報じた。
過労死を認定する対象疾病は、今回新たに▽狭心症▽重症不整脈▽心停止▽心原性突然死──の4項目が加えられた。従来は▽脳出血▽脳梗塞▽心筋梗塞▽急性心臓衰弱▽大動脈解離──だった。
また、長期間の過重業務は日本の例を参考に、発症前1カ月の時間外労働を従来の100時間から92時間に、発症前2〜6カ月の時間外労働の月間平均を80時間から72時間に、発症前1〜6カ月の時間外労働の月間平均を45時間以上から37時間以上に、それぞれ基準を引き下げた。
短期間の過重業務は、従来の「24時間連続業務」「1週間、毎日16時間労働」を、「発症前から前日までに特に過重かつ長時間の仕事を行った」「発症前1週間に長時間労働が常態化していた」と改められ、数値規定が外された。
また、疾病の悪化ペースが通常を上回る場合、労働を悪化要因と見なし、発症場所が職場であるか否かを問わないことが定められた。
さらに、業務負荷について労働者側と雇用主で見解が食い違う場合、雇用主の挙証責任を明記し、労働者側の主張に対し反証を提出できない場合は、労働者側の証言を採用するとした。
過労死認定がなされた場合、遺族は労災補償金として死亡した労働者の給与45カ月分を受け取れる。雇用主が労工保険に加入していても、不足分が発生する場合、雇用主が負担しなければならない。
南亜科技エンジニアの死亡が契機に
新基準に対し、中華民国全国工業総会(工総)の陳武雄理事長は、「こんなに細かく作って、政府は(他に)やることはないのか」と批判を浴びせた。陳理事長は「細かくし過ぎると誰もが緊張し、絶対に良くないことだ。タイムカードを打刻する従業員はともかく、責任感から働く幹部たちはどう計算するのか」と疑問を呈した。
一方、労働団体、台湾労工陣線の孫友聯秘書長は「労働者にとってプラスだ。過労死の証明は難しく、雇用主に挙証責任を求めたのは良い方向だ」と評価した。
今年1月、DRAM大手、南亜科技の29歳のエンジニアが死亡し、過労死を訴える遺族に対し、会社側は「出退勤に制限のない責任制(裁量労働制)で勤務していた」として認定を拒否し、責任制が過重労働の温床になっている可能性に社会的な注目が集まっていた。労委会は実態調査を行うとともに、過労死の認定基準見直しに着手していた。
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