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5直轄市が幕開け、経済発展で競争


ニュース その他分野 作成日:2010年12月27日_記事番号:T00027448

5直轄市が幕開け、経済発展で競争

 台北市、高雄市に新北市(旧台北県)、台中市、台南市を加えた5直轄市体制が25日スタートした。郝龍斌台北市長(国民党)が「台北市10大建設」推進を宣言するなど、5市長が経済発展を軸とした施政方針を表明した。全土の人口の6割以上、1,381万人を抱える5直轄市は、それぞれの地域の特色を生かした振興計画を進めて、台湾全体の競争力を引き上げる役割が期待されている。26日付工商時報などが報じた。


台北市長就任を宣言し、陳沖・行政院副院長(左)から公印を受け取る郝龍斌市長(右)(25日=中央社)

 2期目の郝台北市長は就任演説で、▽市民▽市政建設▽市政サービス──の若返りを図る方針を掲げた。具体的には、公営賃貸住宅「青年住宅」の建設を進め、若年層が安心して結婚、仕事ができる環境づくりのほか、都市交通システム(MRT)の毎年1本の新路線開通、2019年アジア競技大会の新北市との共同開催などだ。台北市は10大建設の推進で、台湾の「首都」として他県市をけん引する役割を担い、東京、ソウル、北京などを上回る存在感を持つ国際都市に成長すると強調した。

新北市、「三環三線MRT網」を推進

 台北県から直轄市に昇格した新北市の朱立倫市長(国民党)は、台北市との提携計画「大台北黄金双子城」で協力し合うと同時に、中央政府とともに重大建設を推進すると宣言した。特に、MRTの環状線3本と新路線3本を開通させる「三環三線MRT網」実現を掲げ、建設工事による経済効果、就業機会の創出を強調した。

 

 県市が合併した高雄市で再任の陳菊市長(民進党)は、▽南部科学工業園区(南科)高雄園区などを含む創新科技走廊(イノベーションテクノロジーコリドー)▽高雄軟体科技園区(高雄ソフトウエア・テクノロジー・パーク)などを含む文創経貿特区(文化創造経済貿易特別区)▽高雄港の洲際貨櫃中心(大陸間コンテナターミナル)などを含む自由貿易運筹中心(自由貿易計画センター)──で、海と陸の玄関口を擁するメリットを生かし、高雄の経済発展と国際化を進めると表明した。

 県市合併で直轄市に昇格した台中市の胡志強市長(国民党)は水ナン空港(ナンはさんずいに南)跡地を再開発する「水ナン経貿園区開発計画」や台中市精密機械科技創新園区など重大建設の推進加速を宣言した。

 同じく県市合併で直轄市となった台南市の頼清徳市長(民進党)は、▽グルメと観光▽文化創造▽流行トレンド▽精密農業▽グリーンエナジー▽バイオテクノロジー──を軸に、古都台南のさらなる飛躍を誓った。

予算獲得競争、激化も

 5直轄市の新市長は、いずれも与野党の著名政治家で、市政経営の手腕が前途を左右するばかりか、再来年の総統選挙に影響を及ぼす可能性もある。このため各市は苦しい財政状況の下、中央に対する予算獲得競争を激化させるという観測もある。

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