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南山人寿、潤泰・宝成連合が落札


ニュース 金融 作成日:2011年1月13日_記事番号:T00027724

南山人寿、潤泰・宝成連合が落札

 米保険大手AIGは12日、台湾の生命保険子会社、南山人寿保険の売却先を、潤泰集団(RUENTEX)と宝成国際集団(PCC)の合弁投資会社、潤成投資控股に決定したと発表した。売却額は21億6,000万米ドルで潤成投資の出資比率は97.57%となる。潤泰集団の尹衍リョウ総裁(リョウは木へんに梁)は「南山人寿のブランドを守り、今後10年、上場する場合を除いて株式を譲渡することはない」と長期経営を強調し、政府の認可に期待感を示した。13日付工商時報などが報じた。


潤泰集団の尹総裁(右2)は南山人寿の純資産が生命保険業界最高、収入保険料が3位だと評価。経営安定後の中国進出も視野に入れている(12日=中央社)

 AIGは、南山人寿の売却先に潤成投資を選んだ理由について、現金支払いに加え、行政院金融監督管理委員会(金管会)が提示した原則を満たしていることを挙げた。具体的には▽南山人寿を転売する計画がない▽傘下に台湾上場企業3社(潤泰創新国際、潤泰全球、宝成工業)を擁し資金調達、増資が可能▽南山人寿の従業員に対する今後2年間の雇用を保障し、賃金や福利厚生制度も変更しない▽既存の業務組織やコミッション支給制度を維持する──など。

 尹潤泰集団総裁は、南山人寿を傘下に入れても社名に潤泰の文字を加える気はなく、経営陣も優秀なため大幅な入れ替えは考えていないと経営の独立性を強調。宝成集団とともに今後 10〜20年分の増資資金を用意してあると語った。

 潤成投資は南山人寿の獲得を目指し、建設、流通など多角経営の潤泰集団が80%、ナイキの受託生産など靴の製造販売大手、宝成国際集団が20%の出資で昨年11月に設立された。現在の払込資本金は25億台湾元(約72億円)だが、既に董事会で授権資本金の600億元への引き上げが決議されている。
 

 南山人寿は、長期経営と従業員の雇用確保を確約する潤成投資による買収に歓迎の意を示し、保険契約者の権益に影響はなく、同社は通常通り営業していると強調した。

金管会と投審会、審査へ

 金管会は20日にも南山人寿譲渡を審査するための専門グループを立ち上げる。経済部投資審議委員会(投審会)も同時に審査を進める。

 金管会関係者は、たとえAIGが原則を満たすと判断していたとしても、きちんと確認すると語った。AIGの南山人寿売却をめぐっては、2009年、香港の中策集団(チャイナ・ストラテジック・ホールディングス)とプリマス・フィナンシャル・ホールディングスの陣営が一度は落札を決めたものの、株主に中国資本が含まれると指摘が出る中、投審会は財務や長期経営への不安を理由に同投資計画を却下している。

提示額最高の中信金、「遺憾」

 今回の南山人寿の売却入札では、参加した5組のうち潤成投資は提示額が高い方から4番目だったにもかかわらず、落札を果たした。金管会の助言を受けたAIGは、100億元以上とされる営業社員の退職金を負担するなどの付帯条件を決め手としたようだ。

 潤成投資の提示額21億6,000万米ドルに対し、▽プリマス陣営、24億米ドル▽中国信託金融控股(中信金)、27億米ドル▽国泰金融控股、22億米ドル──でそれぞれ上回っていた。富邦金融控股は17億米ドルだった。最高額だった中信金はAIGの発表に対し、「遺憾だ。理解できない」とのみコメントした。

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