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作成日:2007年9月21日_記事番号:T00002775
「耳なめ」名誉棄損訴訟、李慶安被告が2審も敗訴
塗醒哲・元行政院衛生署長が酒席で男性の耳を舌でなめ回したなどと虚偽の情報を流した李慶安立法委員(国民党)らに対する損害賠償訴訟で、2審の台湾高裁は塗前署長の主張を全面的に認め、1審に続き原告勝訴の判決を下した。判決は李慶安被告らに1審判決の60万台湾元(約210万円)を上回る100万元の支払いを命じた。
高裁判決は「原告は当時、衛生署長代理の要職にあり、耳なめスキャンダルで虚偽の情報によってメディアや世論の攻撃にさらされ、社会における評価がおとしめられたほか、精神的に大きな苦痛を受けた」と指摘した。
判決について塗前署長は、「賠償額はゼロに等しい。名誉や精神的損失に対する賠償が得られていない」などとしたほか、李慶安被告に新聞紙上での謝罪を改めて求めた。塗前署長は賠償額の増額を求め上訴する方針。
李被告は「高裁の判決は受け入れられない。耳なめスキャンダルは火のないところに煙は立たないのであり、被害者の男性が(耳をなめられた)相手を誤認したところに原因がある」として、自身の責任を否認した。さらに李被告は、「塗前署長は過去5年間、メディアやブログで事件を誇張したり、ねじ曲げるなどして私を攻撃してきた。選挙運動でも事件を取り上げ、政治的利益を得ようをしている」と述べ、最後まで上訴する方針を示した。
塗前署長をめぐる耳なめスキャンダルとは、2002年8月に当時の衛生署人事室主任がカラオケ店で酒に酔って男性に抱きつき、キスをしたり、耳に舌を入れなめ回すなどしたことが発端。被害者の男性は相手を塗前署長と誤認し、李被告の秘書に情報を持ち込んだ。李被告は同年10月に記者会見を開き、塗前署長が一連の行為に及んだと主張したが、後日誤認だったことが判明した。