ニュース 社会 作成日:2011年1月17日_記事番号:T00027755
台湾には各地に「老街」と呼ばれる昔ながらのレトロな街並みがある。新北市では、この老街を地元経済の活性化に役立てようと、2007年から三峡、深坑、八里など計12カ所の老街の再建に着手。その結果、昨年は観光客が前年比3割増の延べ2,600万人に達し、経済効果が表れていることが分かった。
例えば、赤レンガ造りの台湾式とバロック式を融合させた建物が並ぶ三峡民権老街では、再建されたレトロな街並みが数々の建築賞を獲得し、老街と古跡の祖師廟周辺は、休日ともなれば観光客でごったがえすにぎわいだ。
レトロでおしゃれな雰囲気に生まれ変わった三峡老街(YSN)
しかし、こうした「作られたレトロ」の老街で、観光客相手に売られているものは、どこも似たり寄ったりの大量生産品で、「うわべの雰囲気が消費されているだけ。各地方文化の魂が宿っていない」と批判が持ち上がっている。
例えば、プラスチック製の風車や木製のコマなど、昔懐かしいおもちゃは台湾の北から南に至るまでどこの老街でも見られるおなじみの商品だ。こうした雑貨の大半は中国製だという。さらに観光商機を狙い、老街とは全く関連性のないかき氷やパンのチェーン店まで進出している。
結局、リニューアルされた老街は、特色ある地方の文化と歴史を知る人が減る一方の中、地方文化の形骸化を象徴しているかのようだ。
一方、そうした状況への危機感から、近年では各地の文化を保存、発展させようという動きも起こっている。
新北市は目下、建築物の修復のみならず、地方産業の再興にも力を注ぎ、地元出身の若者のUターン就職を促進している。例えば、去年9月に設置された三峡老街付近の「甘楽文創芸文展演空間」では、かつて当地で盛んだった染色産業、藍染が体験できるほか、三峡の歴史文化に親しむ「三峡1日コース」も企画されている。また、「三角湧文化協進会」では、三峡の史跡などを紹介する観光ガイドの育成も行われるようになった。
老街のにぎわいを一過性のものに終わらせないためには、そこでしか体験できないソフト面での充実が欠かせないだろう。
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