ニュース 社会 作成日:2011年1月19日_記事番号:T00027813
夫婦別姓の台湾では、子どもは父親の姓を名乗り、父と子は同姓、母は別姓となるケースが一般的だ。しかし、張百恵さん(34)の場合は父親が日本人、母親が台湾人だったことから、これまでずっと母親の姓「張」を名乗っていた。子どものころは同級生から、父親の姓を名乗らないことで好奇の目を向けられることが多く、肩身が狭かったそうだ。
そんな張さんは昨年、民法の規定が改正され、成人すれば自分の意思で父か母の姓を選べるようになったことを知り、母親の賛成の下、父の姓「鈴木」に改姓することを決めた。
ところが、改姓申請のために訪れた台南市中西区の区役所は、張さんの改姓を拒否。500以上の中華系の姓を記した書物『百家姓』の中に、「鈴木」という姓はないというのがその理由だ。
落胆のあまり涙が止まらなかったという張さんは、それでもあきらめ切れず、議員の支援を得て内政部戸政司に陳情したが、結果は同じ。代わりに姓を「鈴」に、名前を「木百恵」にするという案が提示された。ついに心が折れた張さんは、この案を受け入れようと考え、再度、区役所に連絡を取った。
すると思わぬことに、区役所側は態度を一変、「鈴木」への改姓が可能だというではないか!実は、職員がいろいろ調べたところ、別の区役所が採用していた『台湾区姓名大全』には、「鈴木」姓が掲載されていたという。台湾がかつて日本の植民地だった名残りである。
こうして、晴れて「鈴木百恵」さんとなった彼女は、さっそく身分証をはじめパスポートやクレジットカードなどのデータをすべて更新。煩雑な手続きも「その価値がある」と意に介さず、「自分のアイデンティティーを取り戻した気分」と大喜びだ。
『百家姓』も『台湾区姓名大全』も、内政部が各区役所に支給している資料だが、どちらを採用するかは統一されていないらしい。職員の熱意がなければ、彼女は生涯「張百恵」のままだっただろう。
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