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ネットブック逆境?ASUSが注力宣言


ニュース 電子 作成日:2011年1月20日_記事番号:T00027869

ネットブック逆境?ASUSが注力宣言

 華碩電脳(ASUS)は19日、低価格ノートパソコン(ネットブック)の今年最初の新機種を発表した。今年はさらに3〜4機種を発売し、少なくとも昨年並の600万台、最高で700万台の販売を目指す。タブレットPCブームにより、人気が下火になるとの観測が出ているネットブックだが、ASUS、宏碁(エイサー)の台湾大手2社はすみ分けは可能とみており、今年も引き続き注力する。20日付電子時報などが報じた。


ASUSが発表したEee PC「金沙機」。ディスプレイ10.1インチの超薄型で、最長10時間駆動(ASUS提供)

 ネットブック「Eee PC」を初めて市場に送り出しブームの先駆けとなったASUSは今年、1万台湾元(約2万8,300元)以下の入門機から最高級2万8,988元の「ランボルギーニEee PC」まで、顧客カテゴリー別に対応製品をアピールする戦略を取る。19日発表の砂漠の風紋をイメージしたデザインの「Eee PC 1015PW」は1万5,988元で、中位機に当たる。また、新興市場の強化も重点目標だ。

 胡書賓同社易(Eee)事業処総経理によると、今年のネットブックの世界市場規模は3,000万〜3,500万台で、昨年の3,500万台からは良くて横ばいとの見方だ。ASUSの昨年の出荷実績は約600万台、今年は横ばいから16%成長が目標で、市場が縮小する恐れがある中、10%以上の成長は困難との見方も強い。

 胡総経理は、ネットブックの需要はインドネシアやブラジル、中東諸国など新興市場で強く、中国や欧米など他の市場の落ち込みを補っていると説明。ASUSはこれら新興市場で優位なシェアを築いているため、今年のEee PC出荷台数は、少なくとも昨年並を維持できると自信を示した。

新機種の開発を継続

 ネットブック市場は2009年下半期に成熟期に入り、現在主力ブランドはASUS、エイサー、サムスン電子の3社で、東芝、聯想集団(レノボ)、微星科技(マイクロスター・インターナショナル、MSI)、ヒューレット・パッカード(HP)、デルなどはマーケティングリソースを削減、製品開発も縮小している。

 iPadがブームとなった昨年、不振のメーカーは、ネットブック市場が今後タブレットPCに取って代わられるとの観測の下、撤退も検討したという。しかし、タブレットは娯楽用としての性格が強い一方、ネットブックは業務で使用されるケースが多く、また新興市場での需要が旺盛なこともあって、タブレットPCとは別のカテゴリーとして存続できるという見方が広がった。

 今年はタブレットPCに市場の話題が集中しているが、アップルを除いて成功に絶対の自信を持つブランドはない。そうした中、ネットブック市場への注力をやめた場合、タブレット市場でもうまく行かなければ、2つの市場を一挙に失ってしまう恐れがある。このため、主力3社のほか、レノボ、東芝、HPも引き続きネットブック新機種の開発に取り組むことを決めた。

エイサー、撤退報道を否定

 エイサー広報は19日、同社が今年タブレットに力を入れる一方で、ネットブック市場から段階的に撤退するという海外メディアの報道に対し、「ネットブックは依然、当社が重視するカテゴリーであり、撤退はあり得ない」と否定した。業界では、新興市場や教育市場で強みを発揮しているネットブックを、現段階で手放す必要はないという見方が出ている。

 なお、エイサーのネットブックを受託生産している仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理によると、同社のネットブック出荷は昨年第4四半期まで一貫して安定しており、外部でうわさされているような出荷量の減少は起きていないという。

 陳総経理は一方で、今年ネットブックがタブレットPC市場の成長による影響を受けるのは確実で、四半期ごとに観察が必要だと指摘した。

【表】