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中国大富豪からお年玉、台湾各界に反発も


ニュース 社会 作成日:2011年1月26日_記事番号:T00027961

中国大富豪からお年玉、台湾各界に反発も

 中国の大富豪で「中国一の慈善家(中国首善)」の称号を持つ陳光標氏(江蘇黄埔再生資源利用の董事長、42)率いる一行がきょう26日から1週間の日程で、1億3,000万人民元(約16億円)という超ビッグなプレゼントを携えて訪台する。中国ではなく、台湾の貧困層に「紅包(お年玉)」を配るためだ。このビッグな「お年玉」は、陳氏個人の500万人民元を含む中国企業273社による寄付金だ。

 春節(旧正月)を目前にした心温まる善事…と思いきや、各界から反発や批判の声が上がっている。というのも、陳氏はこれまで自身の慈善行為を声高に宣伝しており、「売名のためのパフォーマンス」という見方があるからだ。舞台の上に札束を高く積み上げ、並ばせた人々に順番に手渡しをするという寄付の手法は、高圧的な感じが否めず嫌悪感を持つ人も多い。

 また、中国よりもはるかに所得水準が高い台湾で慈善寄付をすることについては、疑問の声や政治的な憶測もある。これに対して陳氏は「中国で災害が発生したときはいつも台湾同胞が支援してくれたので、それに対するお礼だ」と、あくまでも感謝の気持ちを表すためと強調。今後、毎年実施する方針だそうだ。

 台湾では、新竹、南投、花蓮3県の低所得層や一人暮らしの高齢者、ひとり親家庭、地震・水害の被災者などを対象に、現金1万〜5万台湾元(約2万8,000〜14万円)を紅包(赤い祝儀袋)に入れ、舞台から下りて手渡す方針で、従来のような舞台の上で現金を支給するパフォーマンスは見られないもようだ。

 とはいえ、台北市や台中市、高雄市などは「慈善寄付は赤十字など民間公益団体を通じて行うべき」との考えで、新北市に至っては「お年玉」の受け取りを拒否。賛成派の自治体は「県民の福祉を獲得するのは県長の義務」(南投県)、「中国が金持ちになってお返しに来るなら断る理由はない」(台南市)——など、やせ我慢の必要はないとの考えを示している。

 これまでに総額13億人民元以上を寄付し、死後は全財産を慈善団体に寄付すると宣言している陳氏。彼の善意は本物か偽善か…けんけんごうごうの議論が続きそうだ。