游錫コン民進党主席(コンは方2つに土)は24日訪問先のカナダから帰台し、首長特別費(交際費)をめぐる横領罪で起訴されたことを受けて、党主席を辞任する考えを改めて強調した。時期については、「30日の民進党大会後の適切な時期」とした。後任は陳水扁総統の復帰が有力視されている。
游主席は25日、陳総統と会談。党主席人事について語ったどうかは明らかにせず、党大会で採択する予定の「正常国家決議文」について協議し、陳総統は、同決議文が順調に採択されることへの期待を表明したという。
桃園空港に到着した游主席(左)。危機感から300人を超える支持者が出迎えに集まった。游主席は決議文に「国名の台湾への変更、新憲法制定」を盛り込むことを主張しており、中間層を取り込みたい総統選候補者の謝長廷氏とは隔たりがある(中央社)
特別費不正で呂副総統と游主席を起訴
游主席、呂秀蓮副総統、陳唐山・国家安全会議秘書長の3人は21日、首長特別費を偽の領収書で不正に引き出し、使用したとして最高法院検察署特別偵査組(最高検特捜班)より業務上横領罪などで起訴された。正副総統候補の謝長廷、蘇貞昌両氏は嫌疑不十分で不起訴となった。
検察の発表によると、呂副総統は2000年12月から06年5月までの間に偽の領収書で特別費と国務機密費計563万6,000台湾元(約1,950万円)を受け取った疑い。游主席は総統府秘書長、行政院長在任中に特別費と国務機密費238万6,000台湾元、陳秘書長は36万8,000元を不正に支出していた。3人は秘書や側近に指示し、他人の領収書を集めたり、白紙の領収書に総統府とゴム印を押したりする手口で特別費などを不正受給していたという。
呂副総統は22日、自身の去就について、「(辞任は)必要ない」と述べた上で、「行政の悪例が積み重なった問題だが、陳総統も自分もこうした細かいことは知るはずがない。側近に指示をした事実もない」と述べた上で、「自ら俸給を半額にカットしておきながら、わざわざ500万元を着服するはずがない」と弁明した。一方、游主席は起訴の直後、「受け取った特別費はすべて公務に使い、一銭も私的に使ったことはない。法律に基づく手続きを尊重し、最終的には司法機関が潔白を証明してくれると信じている」と述べた。
検察としては、国民党の馬英九前台北市長の特別費問題に続き、民進党幹部にも捜査の手を広げることで、特定の政治勢力を捜査の標的にしているとの批判をかわした格好だ。担当検察官は「馬英九前台北市長のケースと比べても、細大漏らさぬ捜査を行い、事実確認の方法や基準も劣らない」と説明した。
民進党は陳水扁政権の腐敗イメージが広がるのは必至で、年末の立法委員選や来年の総統選挙に影響が出る可能性がある。