ニュース その他製造 作成日:2011年1月28日_記事番号:T00028048
鴻海科技集団(フォックスコン)が太陽電池大手、益通光能科技(イートン・ソーラーテック)の筆頭株主となり、太陽電池事業に本格参入する計画がとん挫した。鴻海は27日、第三者割当増資の引き受け取りやめを発表。出資発表からわずか2日後の急転直下で、さらに同日、鴻海に代わり英業達(インベンテック)による出資が決定した。前代未聞の逆転劇の背景にはイートンと鴻海に出資合意をめぐって行き違いがあったもようで、鴻海はイートンの「裏切り」を強く批判。提訴も辞さない構えだ。28日付蘋果日報などが報じた。
27日に記者会見を開いた丁祈安・鴻海副総経理(広報担当)によると、鴻海側は24日にイートンの董事過半数から出資に同意する承諾書を取得したことを受け、25日の発表に至った。その後26日正午、イートンに投資協定書を送付したが、午後3時半ごろに返送されて来たものからは、合意事項9項目が削除されていた。さらにイートンは鴻海に対し、5時までの署名、返送を求めてきたが、鴻海の対応協議が長引く中、5時半ごろイートンより引き受け先を別の対象に決めたとの連絡を受けたという。
その上で丁副総経理は、郭台銘董事長の「(企業買収は)価格よりも誠意が重要」という、イートンの「背信行為」を批判するコメントを発表した。
イートン「理解できない」
これに対しイートンは、「増資引き受け先対象はこれまで一度も公表していない」と強調。署名が済んでいない段階で、出資が決まったと公表した鴻海の行為を「理解できない」とした上で「当社の行為は100%合法だ」と主張した。
なお、監督機関の金融監督管理委員会(金管会)証券期貨局関係者は「今後、事態の把握、および不法行為が行われなかったかを確認する」としている。
今回インベンテックはイートンの増資計画に対し、1株当たり価格は22台湾元、総額50億6,000万元(約144億円)と鴻海の1株20元、総額40億4,000万元を上回る条件で引き受けに成功した。
インベンテックグループの出資内訳は、インベンテックが1億6,000万株、葉国一グループ会長と息子2人が5,000万株、同グループ傘下の投資会社、英源達投資が2,000万株の計2億3,000万株。これによりインベンテックのイートンへの出資比率は47.97%となり、筆頭株主の座に就く。
鴻海、2度目のつまずき
同日付工商時報によると鴻海はかつて、太陽電池大手の茂迪科技(モーテック・インダストリーズ)に出資を検討していたが、モーテックは09年末に台湾積体電路製造(TSMC)からの出資受け入れを決めており、今回の出資失敗は鴻海にとって太陽電池事業における2度目のつまずきとなる。しかし鴻海は「既定路線である太陽電池、グリーンエネルギー事業展開が、今回の件で影響を受けることは絶対にない」と強調した。
太陽電池でも「反鴻海体制」
一方、インベンテックは昨年10月、傘下に太陽電池メーカー、英穏達科技を設立しており、同社の生産能力は今年中に300メガワット(MW)を予定。さらにイートンも800MW以上に増強する計画のため、生産能力は両社合計1ギガワット(GW)を超える見通しで、インベンテックはモーテックと並ぶ、太陽電池で台湾最大手グループに躍進する見通しだ。
インベンテックはまた、合晶科技(ウエハーワークス)が出資する中国・太陽電池素材メーカー、陽光能源控股(ソーラーギガ・エナジー)傘下のモジュールメーカー、景懋光電(キンマック・ソーラー)への40%出資を決めているほか、イートンは友達光電(AUO)傘下のエム・セテックと原料調達で提携しており、インベンテック、ウエハーワークス、AUOなどにより、電子産業に続き太陽電池業界でも「反鴻海体制」が築かれつつあるようだ。
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