ニュース 自動車・二輪車 作成日:2011年2月15日_記事番号:T00028225
15日付中国時報によると、ドイツの自動車大手、フォルクスワーゲン(VW)が検討していた台湾での工場設置計画が白紙撤回となったもようだ。政府の提示した優遇措置への不満が中止決定の主因とされる。裕隆汽車製造などが受注を目指していた台湾メーカーへの生産委託も白紙となった可能性がある。
計画撤回の観測が流れたことを受けて同社の台湾総代理、太古標達汽車は「決定は2カ月先」とのみコメントしたが、黄斉力・同社副総経理は「双方の考え方に落差があることは確かだ」と述べている。
VWの台湾投資計画はもともと、太古標達を傘下に持つ太古汽車集団が、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)の対象に小型車が含まれるとの観測に基づいてVW本社に持ち掛けたとされる。VWも「メイド・イン・タイワン」のイメージが良いことを好感し、ECFA発効後に中台で異なる車種を生産する計画を検討したとみられる。
しかしECFAの第一段階では、完成車はアーリーハーベストの対象に含まれなかったため、VWは台湾での工場設置から現地メーカーへの生産委託に方向転換したとの観測が流れた。
VWによる投資計画取りやめについて業界関係者は、台湾政府が提示した租税面などの優遇条件が、近隣諸国に比べ低かったことが主因だと指摘した。これに対し杜紫軍・経済部工業局長は、ECFAの内容をめぐる投資戦略上の判断であり、優遇条件とは関係ないとの見方を示した。
なお、ある自動車メーカー幹部は、VWは今後、中国での生産能力を倍増させる方針で、広東省仏山と江蘇省揚州に新工場設置を決めており、ECFAアーリーハーベストに完成車が含まれても大きな意義はないと指摘した。
中国が二者択一迫る?
一方、同日付自由時報によると、工業局のある関係者は「VW誘致のため経済部は、用地提供や環境影響評価手続きの一部免除など手厚い優遇措置を提示した」と説明。VWの計画撤回の決定的な原因は、昨年6月に呉敦義行政院長が、海外企業もECFA締結を好感していることを強調するため、「世界的な自動車メーカーが台湾での生産を検討している」とVWの計画を漏らしたことが同社の不満を招いたためだと主張した。
なお同紙は「呉行政院長が漏らした情報に基に、中国政府がVWに対し広東省仏山工場か台湾工場の二者択一を迫り、VWは中国を選んだ」との見方を示した。
裕隆が生産受託との報道も
中国時報はまた、台湾メーカーへの生産委託について「VW本社は現在のところ、差し迫った必要性を感じていない」との見方を伝えた。しかし一方、同日付工商時報は「裕隆汽車が生産を受託することが決まっており、三義工場(苗栗県)で生産ラインの改造工事を進めている」と報じた。早ければ来年にもVW車の生産に入るという。
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