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農業バイオ推進、生産額710億元へ


ニュース 農林水産 作成日:2007年9月26日_記事番号:T00002826

農業バイオ推進、生産額710億元へ

 
 行政院農業委員会(農委会)はこのほど、従来型農業からバイオ産業への転換・育成を図る「農業バイオ起業投資計画」の推進を承認し、100億台湾元(約350億円)を投じることを決定した。農委会は5大農業科技園区の設立にこれまで総額147億元を投じており、同園区の2012年の農業バイオ関連の生産額は290億元、農業バイオ産業全体では710億元に達すると予想している。今月末と来月始め、この計画のためのベンチャーファンドを運用する金融機関の選抜を公告する。26日経済付日報が報じた。
 
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 農委会関係者では、農業バイオ分野を発展させることで、従来型農業の新農業への転換、周辺産業の成長を期待している。例えば5大農業科技園区の中で唯一のBOT(建設、運営、譲渡)案である嘉義香草薬草生物科技園区では、生産したハーブからバイオ食品を製造するほか、園区全体をレジャー施設として開発し、一般の来園者はハーブSPAを体験できるようにする。

 台湾経済研究院バイオ産業研究センターの最新統計によると、06年の8大農業バイオ産業(植物種苗、水産、畜産、動物用ワクチン、食品、バイオ肥料、バイオ農薬、検査診断技術)の生産額は480億元以上。このうちバイオ食品業の生産額は全体の4割強で最も多く、約194億元に達した。同センターの予測では、今年の農業バイオ産業の生産額は530億元が見込まれ、12年までに710億元規模に成長する。世界の農業バイオ生産額の12年の予測値は5,000億米ドルで、全体に占める台湾の割合はまだわずかだ。

 バイオ産業研究センターの孫智麗主任は、「台湾の農業技術は強力で、食品産業も成熟しており、農業バイオの発展に有利だ」と語り、農業バイオは医薬バイオに比べ成功が容易だという見方を示した。特に健康食品類の成長は、近い将来少なくない漢方業者がペット等の動物用薬製品の研究開発(R&D)に投資を予定するなど、大規模な展開が期待できるという。
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技術移転で製品開発

 台湾肥料は農委会からの3,000万元で技術移転を受け、ティラピア(呉郭魚)のうろこから抽出したコラーゲンを利用して作った顔面パックを、遅くとも年内に発売する。水産試験所によると、うろこコラーゲンの技術は日本でも研究開発が行われていたが、コストが高いため商業展開が難しかった。台湾ではティラピアは養殖が簡単で生産量が多く、コストも安いためコラーゲン抽出技術の研究が進んだ。分子が小さいため人体に吸収されやすいという。

 台肥はうろこコラーゲンの潜在成長力を高く見積もっており、製品開発には6,000万~7,000万元を投じ年間4万トンのうろこを使うという。これにより養殖業者からのティラピアの買い取り価格は1キロ18元~25元から35元に上昇し、業者は年収が100万元増加すると期待される。

 このほか林業試験所では紅豆杉から抗がん成分パクリタキセルの抽出に成功し、300万元で製薬メーカーに技術移転を行った。農委会によるとパクリタキセルで製造した抗がん剤は全世界で年間数百億米ドルの市場を持ち、仮に台湾メーカーが薬品の製造に成功すれば、100分の1のシェアとしても年間30億元以上の生産額が見込まれる。

 農委会関係者によると、水産試験所、林業試験所、農業試験所などで行われる研究開発は多岐にわたり、昨年技術移転が行われたのは70項目以上で、権利金額は5年前の100万元から3,377万元以上に増加した。農業科学技術の今年の予算は約39億元、来年は44億元で、国家科学技術予算全体の8%にすぎないが、農委会はこのうち約3分の2を16カ所の農業改良場(所)に配分し、新しいバイオ技術の研究開発に費やす計画だ。