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インフルエンザ猛威、死者80人に


ニュース 社会 作成日:2011年2月21日_記事番号:T00028339

インフルエンザ猛威、死者80人に

 行政院衛生署疾病管制局によると、今冬のインフルエンザ死者数が80人に達し、重症患者数は1,500人を超えた。2003年にまん延した新型肺炎SARSによる死者50人余りを上回る被害で、同局では、今冬は寒く湿度の高い日が続いていること、および09年の新型インフル(H1N1)大流行を経て医師が警戒心を強め、積極的に通報を行ったことが件数増加につながったと分析。延べ受診患者数は既に下り坂傾向で、3月には通常の状態に戻ると予測を示した。21日付中国時報が報じた。


インフルエンザ流行対策として疾病管制局は21日、ワクチンの無料接種を3月末まで延長すると表明した(21日=中央社)

 周志浩・同局副局長は、インフルとSARSは伝染の仕方が異なり比較すべきでないと強調。ワクチン予防接種が今冬は280万件にとどまり、わずか1カ月半で約570万本に上った昨冬の半分以下だったことも流行の理由に挙げた。

 今冬のインフル死者数、重症患者数は、09年の新型インフル大流行の際の死者数44人、重症939人をも上回っている。ある医師は、家庭10世帯のうち4世帯にインフル感染者がおり、発熱やせきなどの症状が1カ月続く重症患者もみられるなど、医療にかかわってきたこの30数年で最もひどいとなげいた。

 高雄市の義大医院は、インフル患者数は通常より3割多い水準で、家族そろって受診するケースが多数を占めると指摘した。一方、嘉義基督教医院では、春節(旧正月)期間の急診患者は例年の3割増だったが、連休明けからインフル患者が通常の2割増の水準に減少したという。また、嘉義長庚紀念医院はインフル急診患者のピークは春節前で、この1〜2週間は減少していると説明した。

緊急医療体制、崩壊懸念も

 インフル大流行を受け、台湾大学医学院附設医院(台大医院)で春節期間の1日当たり延べ急診患者が過去10年で最高となったほか、急診患者が1,000人を超える医療機関が各地で相次いだ。ベッドが足りず、床の上で心肺蘇生法(CPR)が施されるなど医療の質低下がみられるほか、業務量やストレスの増加で、春節後に胃痛、睡眠障害、食欲不振を訴える医療関係者も増えている。退職を考えるケースもあるようだ。

 現在の急診患者数を基にすると、急診専門の医師は2,000人必要となる計算だが、実際には約1,000人しかいない。台北栄民総医院、林口長庚紀念医院などの医療機関は、このままでは緊急医療体制が崩壊するとして、急診を担当する医師の労働環境の早急改善を訴えている。
 

【表】