ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

エルピーダがモバイルRAM注力、瑞晶に委託


ニュース 電子 作成日:2011年2月25日_記事番号:T00028457

エルピーダがモバイルRAM注力、瑞晶に委託

 エルピーダメモリの坂本幸雄社長は24日、広島工場が全面稼働となる今年第3四半期をめどに、台湾子会社の瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)にモバイルRAMの生産を委託する考えを表明した。高成長を遂げる同分野で、年末時点で50%の世界シェアを獲得し、サムスン電子に対するリードを固める意図があるとみられる。同社は25日、日系企業として初めて台湾預託証券(TDR)に上場した。25日付電子時報などが報じた。


「日台連合を強化してサムスンに対抗する」という坂本社長の方針は明確だ(24日=中央社)

 坂本社長によると、レックスチップはモバイルRAMを4F2メモリセル、40ナノメートル製造プロセスで量産する。ハイエンドのモバイルメモリー技術の台湾導入は初めてとなる。

 レックスチップの12インチウエハー工場の月産能力はウエハー投入ベースで8万〜8万5,000枚で、この規模からモバイルRAMの目標月産量は1万〜2万枚になるとみられる。タブレット型パソコンやスマートフォン向けの受注が引き続き拡大すれば、生産量を引き上げる可能性もある。 エルピーダは現在、モバイルRAMの生産を広島12インチ工場に集中させ、月産能力12万〜13万枚のうち、9万5,000枚を割り当てている。レックスチップへの生産委託は、地震など万一の天災リスクを分散する意味もある。

ビット成長率400%目標

 今年、モバイルRAMのビット成長率は300%以上と、PC用DRAMの30%以下を大きく上回ると予想されている。エルピーダ自身はビット成長率400%を見込み、同市場における世界シェアを昨年の40%から50%に拡大することを目標にしている。また、モバイルRAMの売上比率は今年、昨年の30〜35%から50%への拡大を目指す。

 なお、モバイルRAMの生産でエルピーダは既に30ナノプロセスを導入しており、サムスン以下の40〜50ナノをリードしている。レックスチップも年内に30ナノ転換が目標だ。

統合呼び掛け不調か

 坂本社長はまた、同社と台湾DRAMメーカーが統合または合併すれば、エルピーダのDRAM市場での世界シェアは40%を超えてサムスンに迫ると発言した。台湾業界では、既に資金的余裕のない力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)、茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)などに対し、統合・合併を公開の場で呼び掛けたものと受け止められた。

 ただ、坂本社長は翌25日「台湾業界の経営者の大部分にその気持ちがない」と述べ、呼び掛けに芳しい反応がなかったことを示唆した。一方で「プロモスの持ち株買収は依然検討している」とも発言した。

 坂本社長はこのほか、川下での在庫補充需要の高まりに応じ、3月からDRAM価格を9.5〜19%引き上げると発言した。

TDR、初日は上昇

 同社は25日、日本企業として初めて台湾預託証券(TDR)を上場した。発行価格21.3元に対し、初値は21.5元、終値は21.7元で1.9%の上昇となった。調達資金は次世代プロセスの研究開発に充てる。

【表】